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「居酒屋」の倒産、過去30年で2番目の多さに。コロナ関連の倒産は約6割

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東京商工リサーチは、2021年1~11月における飲食業の倒産動向を発表した。調査結果によれば、2021年1~11月の「飲食業」の倒産(負債1,000万円以上)は、累計596件で、前年同期比の24.7%減だった。一方、その内コロナ関連の倒産は275件(構成比46.1%)と半数近くを占めており、コロナ禍の長引く影響がうかがえる。

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飲食業の倒産はコロナ関連が約半数

「飲食業」の倒産について、2021年1~11月の11か月累計では3年ぶりに前年同期を下回った。また11か月累計での500件台は、2016年同期(586件)以来、5年ぶりとなる数値だ。

2021年累計は通年でも2016年(639件)以来の600件台にとどまる見通し

飲食業は2019年9月以降、消費増税への対応や慢性的な人手不足による人件費の上昇などが負担となり、倒産が急増していた。その上、2020年以降は新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が各地で発令される事態に。度重なる休業や時短営業などの要請で、2020年の倒産は過去最多の842件に達した。

2021年は政府や自治体によるコロナ関連支援策の効果もあってか、倒産は比較的抑制されている。とはいえ、コロナ関連での倒産は11か月累計275件に達しており、飲食業の倒産のうち約半数(構成比46.1%)がコロナ禍の影響によるものとみられる。

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「居酒屋」倒産は30年間で過去2番目。「持ち帰り飲食」は低水準に

業種別では、最も多かったのが日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の159件(前年同期比17.1%減)。続いて「酒場,ビヤホール(居酒屋)」の137件(同15.4%減)、「食堂,レストラン」の111件(同39.6%減)だった。

なかでも居酒屋は、過去30年間では2020年同期の162件に次ぐ2番目の多さとなった。通年でも、2012年の141件を超え、過去2番目となることがほぼ確実とみられる。

「持ち帰り飲食サービス業」は15件。通年では2016年の18件以来、5年ぶりに10件台にとどまると予想される

また、倒産に占めるコロナ関連倒産の割合においても、居酒屋は58.3%(コロナ関連倒産80件/137件)と約6割を占め、業種別では最も高かった。一方、コロナ禍で需要が急増した「持ち帰り飲食サービス業」は15件(前年同期比40.0%減)にとどまり、生活への浸透度が垣間見える結果となった。

11月の飲食業倒産は39件(前年同月比37.0%減)と、今年に入って2番目の少なさだった。10月以降、営業制限の解除が進み、飲食店利用者の数も戻りつつある。しかし、コロナ禍を経てのライフスタイルの変化や新たな変異株への懸念など、対応すべき課題は多い。同社が10月に実施したアンケート調査では、企業の7割が「忘新年会を開催しない」と回答しており、飲食業界の厳しい状況は当面続きそうな気配だ。

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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