飲食店「DX」をお悩み別に紹介。デジタル技術が担う、これからの集客と人手不足解消策
ここ数年、よく耳にするようになった「DX」。コロナ禍で厳しい状況が続く飲食業界でも注目を集めており、興味を持っている飲食店も少なくない。その一方で、「取り組むのが難しそう」、「何から始めればいいのか分からない」と思っている方もいるのではないだろうか。そこで今回は、そうした経営者に向けて、飲食店の身近なDXについてまとめていく。
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そもそもDXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を用いて、業務や企業そのものを変革し、競争優位性を確保するということ。
飲食業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大により一変。厳しい状況を打破しようと、DXに興味を持ち、取り組む飲食店も増えてきている。今後もさらにその動きは加速すると見られ、注目度の高いテーマと言えるだろう。「うちの店にDXは関係ない」と思っている経営者も、まずは今抱えている悩みや課題に目を向け、デジタル技術での解決を検討してみてはいかがだろうか。
飲食店の困りごとをデジタル技術で解決してみる
では、具体的にどのような課題をデジタル技術を通じて解決できるのだろうか。ここからは、よくある飲食店の課題と、それらを解決するためのソリューションを紹介していく。
【課題1】なかなか客足が戻らない
各地で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたあとも、なかなか客足が回復しないという飲食店は、新たな集客ツールを導入してみてはどうだろうか。集客の手段を増やすことで、これまでとは異なる人たちに店をアピールすることもできる。
TwitterやFacebook、Instagramなどの「SNS」は、代表的な集客ツールのひとつ。各SNSの特徴を理解した上で活用すれば、集客アップに役立つだろう。また、昨今はGoogleマップなどの「地図サービス」に表示される店舗情報を頼りに来店する客も少なくない。地図サービスに掲載される情報を充実させることも、集客につながる。
【課題2】人手が足りない、忙しい
飲食業界では、コロナ禍以前から人手不足が問題になっていたが、時短要請解除などに伴い、再び深刻化しつつある。人手が足りない店舗では、業務をなるべく効率化するとともに、省人化を実現するツールの導入なども検討すべきだろう。
例えば、卓上に設置したタブレット端末等を使い客自身に注文してもらう「テーブルオーダーシステム」を導入すれば、ホールスタッフの数を削減できるうえ、その分の人員を別の業務に充てられる。またバックヤードにおいては、食材発注ツールや、仕込み外注アプリなどを活用することで、属人的なルーティン業務を減らすこともできる。
【課題3】リピーターを獲得できない
飲食業を成功させるためには、常連客の存在が欠かせないが、コロナ禍でリピーターの獲得が上手くいかないという店舗も多いだろう。リピーターを増やすには、料理にこだわるのはもちろん、顧客分析を行い客の需要を把握することも大切だ。
顧客管理機能を有している「予約システム」や「POSレジ」のほか、お客自身のスマホを活用する「テーブルオーダー」や「順番待ちシステム」など、何らかの会員登録が必要なサービスを導入すれば、来店したユーザーの属性や来店回数、注文内容などのデータが蓄積される。この会員属性に合わせた情報やサービスの提案を的確に行えば、再来の促進につながるだけでなく、顧客一人ひとりの満足度も向上させられるだろう。
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DXに使える補助金とは?
ここからは、飲食店がDXに取り組むにあたり、使える補助金を紹介していく。DXに取り組む飲食店は、積極的に活用してみてはいかがだろうか。
■IT導入補助金
中小企業や小規模事業者が、DXなどのためにITツール等を導入した際の費用を補助。
補助対象:ITツール、PC、タブレット、レジ等
補助上限額&補助率:ITツール=~50万円(3/4)、50~350万円(2/3)、PC・タブレット等=10万円(1/2)、レジ等=20万円(1/2)※()内は補助率
■ものづくり補助金(デジタル枠)
ものづくり補助金に新たに創設された枠で、DXのためにデジタル技術を用いた生産プロセスやサービス提供方法の改善等に取り組む事業者が対象。
補助上限額:従業員数5人以下=750万円、6~20人=1,000万円、21人以上=1,250万円
補助率:2/3
※参考:経済産業省より令和3年度補正予算に関する「資料1」「資料2」
DXはお客とのコミュニケーションが薄まるというイメージを持つ人も多いが、営業体制や従業員に余裕が生まれることで、むしろ接客などのサービス面に十分な人的リソースを割くことが可能になり、おもてなしを充実させることにもつながる。
導入時のコストなどから一歩を踏み出せない飲食店もいるかもしれないが、上記に上げた通り、企業のDXを支援する補助金なども登場している。「必要ない」「関係ない」と思っている店舗こそ、DXに目を向けてみてはどうだろうか。