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飲食業界が団結、「政府に声届けたい」。日本飲食団体連合(食団連)が本格始動

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飲食業界に新たな業界団体「一般社団法人日本飲食団体連合」が誕生した

2022年1月19日、飲食業界に新たな業界団体「一般社団法人日本飲食団体連合」(通称:「食団連」)が設立され、緊急記者会見が行なわれた。服部幸應会長(全国調理師養成施設協会)以下8名が登壇し、「食団連」設立の経緯と目的を発表した。

記者会見後、別会場で「食団連」の山下春幸副会長(一般社団法人日本飲食未来の会)、二之湯武史専務理事(一般社団法人食文化ルネサンス)、秋元巳智雄専務理事(一般社団法人日本ファインダイニング協会)による講演が開かれた。記者会見と、3名が講演で論じた内容を合わせてお伝えする。

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政府と意見交換ができる関係を

政府はこれまで、飲食業界に関する政策を決める際、業界団体の意見を聞きながらこれを決定してきた。一方、美味しい料理を提供できていれば客が来てくれていた飲食店には、政府へ意見をいう必要もなかったし、その文化もなかった。

ところが、コロナ禍で一転。昨年6月、食文化の未来を守るため、高級料理店を中心とする18団体が団結。コロナで打撃を受けた飲食業界、一次産業、酒蔵、納入業者など、飲食に携わる業態の代表として政府や行政に意見を述べる機会を増やしていった。今回の「食団連」設立に対して、服部幸應会長らは以下のようにコメントしている。

服部幸應会長(全国調理師養成施設協会)

「飲食業界として政府与党に陳情してきましたが、団体をもっと強くするために『食団連』を設立しました」(服部幸應会長/全国調理師養成施設協会)

山下春幸副会長(一般社団法人日本飲食未来の会)

「ひとりで声をあげても伝わりません。飲食業界の仲間と『食団連』を設立しました」(山下春幸副会長/一般社団法人日本飲食未来の会)

「私も政府に陳情してきましたが、意見交換なのか、聞いているふりだけのパフォーマンスなのかわかりません。『食団連』として政府と意見交換ができる関係を根付かせていきます」(二之湯武史専務理事/一般社団法人食文化ルネサンス)

佐藤裕久副会長(一般社団法人日本ファインダイニング協会)

「個人店の経営者から数百店舗を経営する中堅グループ企業まで多岐にわたる団体が連動し、『食団連』を設立しました」(佐藤裕久副会長/一般社団法人日本ファインダイニング協会)

秋元巳智雄専務理事(一般社団法人日本ファインダイニング協会)

「現在、21もの団体が『食団連』に加盟しています。賛同を表明した団体も加えると41になります」(秋元巳智雄専務理事/一般社団法人日本ファインダイニング協会)

髙橋淳理事(一般社団法人大阪外食産業協会)

「地方の飲食店の声も届けたいと思っています。うちの会員は1万店舗以上。従業員数は13万人です」(髙橋淳理事/一般社団法人大阪外食産業協会)

柴泰宏理事(NPO法人繁盛店への道)

「若手もベテランも安心して働ける環境を実現させるために活動していきます」(柴泰宏理事/NPO法人繁盛店への道)

里井真由美理事(フードジャーナリスト、アナリスト農林水産省食料・農業・農村政策審議会委員)

「飲食業と生産者の連携を強化することが食文化の未来に繋がると思っています」(里井真由美理事/フードジャーナリスト、アナリスト農林水産省食料・農業・農村政策審議会委員)

「食団連」として政府にプレッシャーをかけていく

「食団連」が今すべきことはなにか。その一つが、コロナ禍で困窮する飲食店の現状を政府や行政に伝えつつ、理不尽な政策に対し声をあげることだ。例えば協力金。飲食業は協力金をもらっているが、店舗規模によっては十分とはいえない。しかも飲食業界を支えている農家や漁師、酒屋、酒蔵には出ない。このことも『食団連』は杞憂している。

「コロナ後、観光立国として外国人観光客を受け入れられなくなる可能性もあります」(佐藤裕久副会長)

「観光業界と飲食業界は従業員数も市場規模もほとんど同じ。ところが、Go ToトラベルとGo Toイートの予算は10分の1ものひらきがありました。このギャップは政治力の差。『JF』(日本フードサービス協会)が経団連だとすると、『食団連』は商工会。各地域に根を張っている飲食店が連合を組み、政府や行政に意見を伝えていきます」(二之湯武史専務理事)

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。