飲食店ドットコムのサービス

飲食業界が団結、「政府に声届けたい」。日本飲食団体連合(食団連)が本格始動

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

二之湯武史専務理事(一般社団法人食文化ルネサンス)

【注目記事】地元客に愛され坪月商58万円を達成。西荻窪『サイコロ』が貫く“楽しむ”姿勢

若手育成のために法改正も政府に提案する

コロナ前から飲食業界には、“今そこにある危機”が存在した。「働き方改革」だ。「働き方改革の影響で、飲食業界では若手の育成が難しくなっています」と二之湯専務理事は語る。

さらに働き方改革は、製造業を中心に考えられた制度だと二之湯さんは力説する。製造業であれば、設備の導入で労働時間を短縮できる。しかし、サービス業の飲食業の場合、設備投資をしたところで労働時間の短縮は望めない。

「サービス業の人も製造業と同じように働きなさいというのが『働き方改革』です。この制度も飲食業の未来を大きく左右します。雇用関係以外の形態で料理人を雇えないか、新しい形態を模索し、政府与党に提案していきたいと思っています」(二之湯専務理事)

働き方改革で料理人が技術を磨く時間が少なくなった。そんななかコロナ禍に見舞われ、飲食店が目の敵にされた。「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」に伴う営業時間の短縮で料理技術の低下も懸念されている。そしてもう一つ。コロナ禍で飲食業の未来に夢を描けなくなった若者が、飲食業に就こうと思わなくなった。

「海外で飲食業に携わる人々は日本のおもてなしや食をビジネスモデルに求めています。海外と日本の意識のギャップを感じています」(秋元専務理事)

記者会見の様子

食文化の明るい未来のために

山下副会長によればコロナ禍で飲食業界にネジレが起きているという。業績が悪い中で原材料が高騰。加えて外国人を雇用できず人手不足のためアルバイトの人件費も高騰している。もともと日本の飲食店は海外と比べると料理の価格も人件費も安い。消費税が増税になった中で料理の価格をあげるのはきわめて難しい。

「日本の食のレベルに合わせた適正な価格の業態にし、賃上げに応じられる業界にしていきたい」(秋元専務理事)

コロナ禍、働き方改革、飲食業の未来を担う後継者不足……。飲食業界には高い壁が立ちふさがっている。

「でも、コロナがあったからこそ『食団連』という形で飲食業界が団結できたと思っています」(山下副会長)

日本の食文化を愛する者たちの手で、飲食業界に立ちふさがる高く、厚い壁をあけるときが来た。コロナ収束後も食の未来は続く。希望で満ち溢れる、明るい未来をきづいていきたい。

■組織体制は以下の通り
・服部幸應会長(全国調理師養成施設協会)
・村田吉弘副会長(一般社団法人全日本・食学会)
・佐藤裕久副会長(一般社団法人日本ファインダイニング協会)
・山下春幸副会長(一般社団法人日本飲食未来の会)
・二之湯武史専務理事(一般社団法人食文化ルネサンス)
・秋元巳智雄専務理事(一般社団法人日本ファインダイニング協会)
・髙橋英樹事務局長(一般社団法人日本飲食業経営審議会)
・脇屋友詞理事(公益社団法人日本中国料理協会)
・髙橋淳理事(一般社団法人大阪外食産業協会)
・柴泰宏理事(NPO法人繁盛店への道)
・米田肇理事(一般社団法人食文化ルネサンス)
・里井真由美理事(フードジャーナリスト/アナリスト農林水産省食料・農業・農村政策審議会委員)
・安田幸一監事(みかさ監査法人)

■設立時に加盟した団体は以下の通り
・一般社団法人大阪外食産業協会(ORA)
・一般社団法人日本居酒屋協会
・NPO法人居酒屋甲子園
・一般社団法人食文化ルネサンス
・公益社団法人全国調理師養成施設協会
・一般社団法人全日本・食学会
・一般社団法人太陽の会
・日本飲食業経営審議会
・一般社団法人日本飲食未来の会
・一般社団法人日本ファインダイニング協会(JFDA)
・一般社団法人日本フードビジネス国際化協会(JIFA)
・公益社団法人日本中国料理協会
・NPO法人日本料理アカデミー
・NPO法人繁盛店への道
※賛同を申し出た団体を加えると41団体にも及ぶ(2022年1月19日現在)

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。