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飲食業界の現状と今後を知る。『HAJIME』米田肇シェフほか食団連メンバーが語ったこと

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食団連理事メンバーと会場の会員全員で撮った記念写真

飲食店は客の笑顔のために美味しい料理を作り提供してきた。政府に意見を言う必要はなかったし、その文化もなかった。

ところが、コロナ禍で一転。2021年6月、「食文化の未来を守る」ため、高級料理店を中心とする18団体が団結。政府や行政に陳情したが、団体としての力が貧弱だった。より強固な組織にするため2021年12月22日、個人店経営者から中堅グループ企業も含めた20余りの団体が結束。「一般社団法人日本飲食団体連合会」(以下、「食団連」)が設立された。

そのほぼ1年後の2022年11月29日。44団体になった「食団連」のパネルディスカッションと交流会がザ ストリングス 表参道で開催された。

パネルディスカッションのテーマは「未来志向の外食産業」。パネリストは、食団連副会長の佐藤裕久さん(バルニバービ代表)、同理事兼事務局長の髙橋英樹さん(夢笛代表)、同理事の米田肇さん(レストラン『HAJIME』のオーナーシェフ)の3名。ファシリテーターを同専務理事の二之湯武史さんが務めた。

ディスカッション中、会場の会員から寄せられた意見や疑問点が表示された。その中からあえて厳しい意見を二之湯さんが選び、その回答をパネリストに投げかける形でディスカッションが行われた。外食産業の現状と未来に関して交わされた議論を紹介する。

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パネルディスカッションの様子

コロナになる前から飲食業界は問題を抱えていた

開口一番、飲食業の現状をパネリストが報告した。

「コロナ前の8~9割のお客様が戻っています。ただし、二次会や三次会利用が減少。アルコールの注文もパーティー需要も減っています」(佐藤さん)

全国の居酒屋が加盟する『一般社団法人日本飲食業経営審議会』の代表理事でもある髙橋さんが発言した。

「居酒屋も売上が8~9割に減少。今年も大きな忘年会を望めません。居酒屋にとって2回転目は重要な市場ですが、一次会で終わってしまいます」

コロナ前から飲食業は消費税増税、働き方改革、デフレの問題を抱えていたと米田さんは指摘。

「コロナが収束に向かいつつある現在、戦争、円安、原材料の高騰もあり、コロナ前とではまったく別の世界になってしまいました」

食団連副会長の佐藤裕久さん(バルニバービ代表)

地方の会員からも現状を訴える意見が提出された。

〈地方の飲食業は瀕死の状況です。未だに6〜7割しか戻っていない。コロナ禍の間、ほぼ助成金もなく、未だに苦しんでいる。地方格差をどうにか国に働きかけてほしい〉

「地方を失ってもいいのかという問いかけではないかと認識すべきだと思う。地方の飲食業の方の苦しみを一緒に考えていきたい」(佐藤さん)

「これは飲食を超えた、政治の課題そのものだと思います」(二之湯さん)

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。