飲食店の売上アップに「顧客管理システム」が効く理由。老舗カフェの常連客づくりに密着
カフェ・洋食専門店『風車』や生そば・食事処『水車』など、現在広島エリアで4店舗を展開する三吉屋食品株式会社。創業から57年経った今でも、地元住民から変わらぬ人気を誇る。その秘密は常連客づくりのノウハウにあるという。
3代目代表の奥芝祥平氏に常連に愛され続けるために行っていること、ロイヤルティの高い優良顧客を獲得し、売上を安定させるために心掛けていること、利益率アップのために、またさらなるリピーター獲得のために新たに始めたことを聞いた。
月間4,500人が来店する広島の老舗カフェ・洋食専門店『風車』
1965年に現代表である奥芝氏の祖父によって創業した『風車』。駅ビルやバスセンターの中に立地し、おじいさん、おばあさんから中高生、サラリーマンやOL、主婦など、老若男女さまざまな人の憩いの場として長年親しまれているお店だ。
創業者が大切にしていたのが「原爆の被害が甚大だった場所だからこそ、お客様にキラキラしたものを提供したい」という思い。見た目にも華やかな洋食とパフェを創業時から提供しており、メニューの形は少し変えながらも今もその思いが受け継がれている。
お客の3割が注文するというパフェには、ソフトクリームをたっぷりと使用。コーンフレークや創業時から手作りにこだわるプリン、さらにフルーツをトッピングしたボリューム満点な一品だ。このほか、系列店である生そば・食事処『水車』の出汁を使った「オムライス」(940円※価格は取材当時のもの)も看板商品として親しまれている。
奥芝氏が先代の父親から経営を引き継いだのは2020年のこと。そこから店舗のコンセプトを新たに「近所の公園」と定義し直し、子供連れの方でもゆったりと寛げるよう、植物を増やしたり、席間を広くするなど新たな客層の獲得にも乗り出した。
そして、経営を引き継いだ奥芝氏は、原価や経費の管理、従業員用のマニュアル整備にも力を入れ始める。
「以前は焼肉ランチやスパゲッティランチなどメニュー数がかなり多く、オーダーが煩雑なためにホールスタッフが混乱してしまったり、食材ロスが発生してしまったり、商品提供に時間がかかってしまったりと課題がありました。余裕を持ってお客様にサービスを提供できるようにしたいと考え、人気メニュー、そして家族向け、お子様向けのメニューを残しつつ商品をブラッシュアップ。
その結果、仕込みも減り調理スタッフやホールスタッフなど従業員の負担を減らせただけでなく、食材ロスなどのコストも削減でき、利益率を上げることができました。心配していたお客様の反応ですが、特にクレームなどが入ることもありませんでした」
お客の満足度はそのままに、従業員の負荷を減らし、コストの削減に成功した。
常連に愛される店であり続けるために、3代目が始めたCRMサービス
奥芝氏が原価、経費管理の次に着手したのが、常連客、リピーターを増やす施策だ。それまでも三吉屋食品の各店でポイントカードを渡すなどの施策を試みたが、うまくいかなかった。ポイントカードを持参し忘れる人も多いほか、こちら側で記録する労力もかかり、どの人がどれだけ利用したかなど管理することが困難だったのだ。
「肌感覚では4割くらいの方が常連かなと思いつつ、話しかけてくださる常連の方は一部のため、実際の数や来店頻度はわからなくて。キャンペーンを実施しても売上でしか効果測定ができないということも課題でした」
そこで自社アプリの開発を考えた奥芝氏。しかし若手スタッフに尋ねると「飲食店のアプリは大手ファストチェーンのものしか入れていない」という反応が返ってきて考えを改め始める。
そこから顧客管理を行うCRM(Customer Relationship Managementの略)サービスを探し始めた。CRMサービスは、お客の氏名・住所・電話番号・年齢・性別のほか、予約履歴、注文履歴、来店履歴、問い合わせ履歴、クーポンの利用状況などを記録・管理できるサービスだ。これらの情報を分析することで、来店する客層の傾向、混雑しやすい時間帯、人気メニューが分かるほか、一人ひとりの顧客へ販売促進のアプローチをすることも可能になる。
奥芝氏は2022年春ごろからCRMサービスを探し始める。いくつか見ていく中で好感触だったのが「NURO AI CRM」だった。
「欲しい機能は揃っていながら、クラウドサービスのため、新規開発費用が不要で、他サービスに比べてコストパフォーマンスが高いと感じました。操作性・利便性が高く、現場社員の負担にならない点も魅力です。また昔からSONY製品にお世話になっていたので、サービスへの信頼感もありました」と導入の決め手を明かす。
5か月で528人の会員獲得、クーポン利用率71.4%を達成
2022年8月から「NURO AI CRM」を全4店舗に導入した三吉屋食品。各テーブルに会員登録用のQRコードの案内を設置したほか、導入当初はスタッフがお冷や商品を提供する際に声掛けを行った。シンプルな案内でスタッフの負荷も特にかからなかったものの、5か月で528人の会員獲得に成功した。
三吉屋食品では、新規会員登録記念で300円引きクーポンを配布しているほか、誕生日にはミニパフェクーポン、さらに毎月1回「ワンドリンクサービス or パフェのホイップ増し」などのWeb会員限定の特典クーポンを配信している。新規会員登録に至っては、使用率71.4%を達成。お客のリピートにつながっている。
三吉屋食品では、これらの情報をお客のLINEアカウントへ直接通知する仕様にしているが、このほか「NURO AI CRM」ではキャリアメール、ショートメール、Eメールなどの連絡方法を選ぶこともできる。
「我々のお店は50〜70代の女性がヘビーユーザーのため、当初はWebサービスを使ってくれるか心配をしていたのですが、案内してみたら思った以上に利用してくださいました。しかも、毎月行っているWeb会員限定特典も積極的に利用してくださっています」
メッセージ作成やキャンペーン企画など、社員が販促を学ぶきっかけに
三吉屋食品では以前より「風車水車新聞」という、お客向けのお知らせ新聞を毎月発刊している。こちらにも「NURO AI CRM」の新規会員登録用QRコードを掲載。毎月この新聞の発刊を楽しみにしているお客も多く、スタッフとお客のコミュニケーションのきっかけになっており、Web会員の情報も話題になっているという。
新聞に加え、「NURO AI CRM」を使ったWeb会員へのメッセージ作成やキャンペーンの企画も、現場の社員が行っている。
「店舗ではiPadを使って管理画面を操作しています。毎月の企画立案からキャンペーンメッセージの作成、誕生日の方への特典企画など、すべて各店舗の現場社員に任せています。クーポンの開封率や来店率なども管理画面で数値として見ることができるので『この企画はクーポンの使用率が高くて良かった』というように振り返りができ、次回の施策に活かせています」
この業務を通じて、社員に販促を学ぶ機会を作れ、サービスだけでなくマーケティング知識を養ってもらうことができたと奥芝氏は満足感を示す。
「今までは社員とアルバイトスタッフは商品を提供したり、片付けたり、同じような業務しか任せられていませんでした。しかし、Web会員へのキャンペーン企画やメッセージ作成を通じ『お客さんに楽しんでもらえるようお店を盛り上げたい』という意識を社員に持ってもらえた気がします」
お客へのメッセージ送信ではLINEを主に使っているというが、LINEで送信する文面だけでなくイラストや画像もアプリを使って作成。現場社員が試行錯誤しながらも楽しんでお店を盛り上げているという。
さらにキッチンスタッフにも良い影響があったようだ。例えばWeb会員向けの特典として、スペシャルなミニパフェにアップグレードできるようにした際、どんなパフェを作るかを担当のキッチンスタッフに委ねた。お客としてはどんなパフェが出てくるのかというワクワク感があり、キッチンスタッフにとっては自身の創造力を発揮できる良い機会になった。
毎月の企画を楽しみにする常連が増加。ファン作りの延長線上にCRMサービスあり
「NURO AI CRM」では今後AIで来店者数、売上などを予測分析する機能が搭載される予定だ。これについて奥芝氏は「仕入れをする上で客数の予測が大切です。さらに客数に合わせて、シフトを考えるのにも頭を悩ませているので、来店者数予測機能は楽しみですね」と期待を寄せる。
改めて奥芝氏に「NURO AI CRM」を導入した感想を伺ってみると、以下のような返答が返ってきた。
「我々のお店は料理を目当てに来店されるお客様だけでなく、雰囲気やここで育んだ思い出を懐かしみにいらっしゃる方が多いように思います。それと同時に長年働いてくれているスタッフ目当てに通ってくださる常連さんもいます。だからこそ、そういった期待には応え続けたいと考えています。CRMサービスは、お客様とこれからも良好な関係を続けていくための一つの方法として、もしくはその延長線上にあると思っています」
外食先を明確に選ぶ顧客が増えたアフターコロナ時代、選ばれる飲食店になり、売上を伸ばすためには他店との差別化が大切であり、お客とのつながりがより重視されるようになってきている。CRMサービスを取り入れることで、顧客との関係値が築け、リピーター獲得、ひいては売上アップにつながるはずだ。
■「NURO AI CRM」
・サービス概要はこちらから
・お問い合わせはこちらから
[提供]ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社