なぜ月商1,400万円売れるのか!? ネオ大衆酒場『つむぎ堂』のメニューを大解剖
20~30代をメインターゲットにして大ヒット
2022年3月のオープン直後から売上はうなぎ上り。夜間の人通りが少ない東京・西新宿のオフィスエリアに店を構えながら、23坪60席の規模で月商1,400万円を売り上げるネオ大衆酒場が『酒場 つむぎ堂 新宿店』だ。
経営を担う馬淵社長は大学卒業後すぐに起業。2017年10月、創業店『個室居酒屋 鶏の吉助 川越店』をオープンしたのを皮切りに、2019年8月には千葉県千葉市に『個室居酒屋 鶏の吉助 千葉駅前店』(現・『個室居酒屋 鳥四季 千葉駅前店』《業務委託》)、2021年3月には川越に『ネオ大衆酒場 サワマル 川越店』、そして2022年3月には『つむぎ堂』を出店した。
サワマル以降は多業態による出店で店数を伸ばしている同社だが、いずれの店にも共通しているのが20〜30代をメインターゲットにしていることだ。若者のアルコール離れが進んでいるとされるが、その中でも『つむぎ堂』はアルコール売上比率40%を確保しており、若年層の居酒屋ニーズをがっちりキャッチ。本稿では『つむぎ堂』のメニュー開発のプロセスを追うことで、若年層に支持される居酒屋メニューのポイントを探っていきたい。
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『ネオ大衆酒場 サワマル』がメニューの下地
『つむぎ堂』のフードメニューでまず押さえておきたいポイントが「定番を外さない」ということ。20〜30代に支持されるメニューというと「SNS映え」を連想しがちだが、『つむぎ堂』にはインパクトの強い商品や派手な商品はほぼない。冷たいお出汁トマト528円、茄子の揚げ浸し とろろがけ418円、燻製トロたく638円など、定番メニューにひと捻り加えた商品が中心だ。
これはつむぎ堂のメニューが3号店である『サワマル』のメニューを下地にして組まれたことに起因している。馬淵社長は「『サワマル』の出店時、当社には僕を含めて調理経験者がいませんでした。そのため、業態開発、商品開発は繁盛酒場の徹底リサーチがスタートライン。そこで見つけた調理難易度は低くても、提供方法の工夫によって付加価値を創出している商品を集めたものが『サワマル』の初期メニューだったんです」と説明する。
『サワマル』が26坪50席の規模で月商850万円を売る繁盛ぶりを見せたことから、『サワマル』をアップグレードした業態で東京進出することを決意。それが『つむぎ堂』だった。
『つむぎ堂』のメニューコンセプトは「ワンランク上の大人の大衆酒場」だ。『つむぎ堂』のフードメニュー約40品のうち、『サワマル』から引き継がれたメニューは約10品で、4分の3を新メニューで構成している。その開発を手がけたのが同社飲食事業部 営業本部長の村野寛騎氏。村野氏は前職の外食企業で料理長とエリアマネジャーを兼任しており、商品開発だけでなく、マネジメントにも精通していたことから、馬淵社長自らがスカウトした人材だった。
