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五反田『酒肴あおもん』、“日本一軽い”半熟アジフライで満員御礼!【連載:居酒屋の輪】

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若かりし日々を満面の笑みで振り返る渡辺さん

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毎日毎日ちょっとアホになるくらい串打ちしました

渡辺さんは埼玉県の所沢市出身で今年で39歳。明治大学在学中から飲食店でアルバイトをはじめ、その後は大手証券会社に就職が決まるも、すぐに退職したという。

「証券会社で研修を受けて資格を取ったら、社会人から逃げたくなって(笑)。ちりとり鍋専門店や茶漬け専門店などで、ふらふらとアルバイトを続けました。しばらくして当時の先輩だった伊与久大輔さんという方に『お店を開くんだけど、良い焼き手がいなくて。ちょっと修業してきてよ』と言われ、半年ほど焼鳥屋で働いたのが一度目の転機でした」

28歳となった渡辺さんは「ようやく飲食業に本腰を入れて挑んだ」という。修業時代は営業開始前から4〜500本の串打ちをし、翌朝8時まで焼台に立ち、魚の仕込みをしてから帰宅し就寝。起きたらすぐお店に直行する毎日だった。2012年、その勢いに乗ったまま東北沢の焼鳥店『てっちょこ』の立ち上げに参加し、努力が認められて約半年で店長に就任した。

「地下1階13坪くらいの店舗で家賃は坪7,000円ほど。オープン当初は月商140万円ぐらいでしたが、スタッフ皆でがんばったら月商300万円以上になりました」

「高級店の焼鳥と遜色ない」と評判になるほど腕前が上がった渡辺さんだが、一番の繁盛の理由は「接客の質」だったと話す。

今も予約の席札は手書き。丁寧な仕事がお客の心を掴む

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「楽しく居心地よく過ごせれば、お客様はリピートしてくれます。自然とご紹介も増えて店は繁盛する、という非常に単純な仕組みです。大切なのはクオリティ、サービス、クリーンリネスの『QSC』。最も基本的なことですが、意外と徹底できていないお店は多いと思います」

大事なことの9割は高丸聖次さんに教わった

30歳で結婚をした渡辺さんが独立も視野に入れはじめたころ、「もっと繁盛しているお店で働いてみたい」と考えるようになったのだという。

「当時、働いていたお店は坪月商30万円くらいでしたが、このまま営業をがんばっても、これ以上売上を伸ばすことは難しそうだと考えていました。そんなある日『オープンから1年で大繁盛しているすごい店がある』と聞いて、最初はお客として『おじんじょ』に行ったんです。そこで高丸聖次さんとお話をする機会があり、もしこの店で働くことができれば、ほかでは得られない経験がつめそうだと感じました」

そうして転職を決意した渡辺さん。2015年9月から『おじんじょ』で働くことになった際には「売上を3か月で100万円以上アップさせます!」と高丸さんに伝えたという。入社 1週間でキッチンの仕事を覚え、お客ともどんどん仲良くなって紹介を増やし、3か月後には目標売上を達成。見事、店長に抜擢された渡辺さんは、想像していた以上に多くのことを高丸さんから学んだという。

「記憶に残っている教えは山のようにありますが、最も印象的なのは『店の名物は3つ用意すること』ですね。それは『日本一美味しい』とかではなく『日本一とろとろ』だとか『日本一こってり』みたいな、分かりやすいメニューにしなさい、という内容でした」

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。