坪月商44万円を誇る『福味み』が挑んだ「割烹料理の“居酒屋表現”」とは
メニューの下地は割烹料理。そこに居酒屋メニューを散りばめる
「割烹料理の居酒屋表現」というコンセプトは、フードのメニュー構成と店舗造作の2点に表れている。
フードメニューは6カテゴリー約40品と絞り込まれたラインアップ。売れ筋は注文率80%の「お造り盛り合わせ」(1人前1,200円)で、その他の商品も酢の物や白和え、西京焼き、天ぷらなど季節の食材を用いた日本料理がメニューの6割を占める。フードメニューは月替りにして季節感を打ち出すなど、割烹料理がメニューのベースになっていることがよくわかる。
そこにバランスよく居酒屋料理を散りばめていることが『福味み』のメニューミックスのポイントだ。前菜の名物メニューは福留氏の出身地である宮崎県の郷土料理「宮崎赤鶏のたたき」(800円)。「雲仙ハムのポテトサラダ」(650円)、「蟹味噌クリーム春巻き」(1本550円)、「鴨と枝豆の焼売」(1個400円)などの創作メニューを揃えるほか、「肴」カテゴリーには「鯖の生ハム」(700円)などの小皿料理6品をラインアップしている。
「ポテトサラダには炙り焼きにした分厚い雲仙ハムを盛り、仕上げにパルメザンチーズをたっぷりと振りかけます。カニクリームも定番のコロッケではなく、春巻きにし、さらに蟹味噌を足すのがポイント。馴染みのある居酒屋の定番料理はお客さまの目を引きやすく、そこに一捻りしたメニューを投入することで高品質をわかりやすく伝えることができます」
割烹料理の「美味しさ」と居酒屋の「楽しさ」を一体化したメニュー
ポテトサラダや春巻きなどは2人客には2皿に分けて提供しているが、「この点は割烹料理の提供スタイルに倣っています」と福留氏は言う。
「お客様の目の前で料理を作り、できたての料理をお出しする割烹料理は商品クオリティという点では申し分ないのですが、高級なイメージが定着していることがウイークポイントだと考えています。割烹料理の『美味しさ』と居酒屋の『楽しさ』を一体化できれば、新たなニーズを掘り起こすことができる。そう考え、居酒屋料理をメニューに織り交ぜて格式張らない品揃えにしました」
この福留氏の考え方は締めのメニューとして導入された土鍋ごはんにもよく表れている。
「土鍋ごはんは鮭といくらの醤油漬けというゴールデンコンビ、店のイチオシ食材である宮崎赤鶏、そして旬の食材を用いた一品と、計3品を用意しています。炊きたてのごはんのクオリティとシズル感が売りですが、食べきれなければおにぎりにして持ち帰っていただくなどサービスにも結びつけることで商品価値を高めています」
