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坪月商44万円を誇る『福味み』が挑んだ「割烹料理の“居酒屋表現”」とは

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スタッフのみなさんと。右から2番目が店主の福留達成氏

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東京・恵比寿に2022年9月にオープンした『福味み』は坪月商44万円を売り上げる繁盛居酒屋だ。客単価は8,300円。店主の福留達成氏は繁盛居酒屋の経営者を次々と輩出してきた株式会社楽コーポレーションの出身であり、日本料理店で修業を積んだ料理人でもある。その経験を『福味み』の業態開発にどう活かしたのか、福留氏にうかがった。

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アイデアメニューが豊富な楽グループの中では異色の存在

「居酒屋の神様」の異名を持つ宇野隆史氏率いる楽コーポレーション。「居酒屋の独立道場」としても知られており、同社はこれまでに数多くの居酒屋経営者を輩出してきたが、『福味み』店主の福留達成氏もそのひとりだ。

楽コーポレーションに所属していたのは2010〜2019年のおよそ10年間。『汁べゑ』下北沢店や六本木『東京ワイン食堂 楽』など5店に勤務し、ほかの楽卒業生と同じように繁盛居酒屋のノウハウを身をもって学んできた。

楽卒業生として福留氏がやや異色な点は和食の料理人としての経験が長いことだ。楽の入社以前に客単価2万円の日本料理店で修業し、楽卒業後も客単価が1万円を超える神楽坂の居酒屋『神楽坂うお輝』に勤務。さらに楽グループの先輩である小嶋崇嗣氏が運営する浜松町の『座魚場 まるこ』に勤めた後、2022年9月に『福味み』を開業した。

フードメニューのベースは旬の食材を使った割烹料理。売れ筋のお造りは「盛り合わせ」(1人前1,200円)の他、「本まぐろ」(2,200円)、「かます」(1,600円)など単品5品を揃える

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楽グループの繁盛居酒屋づくりは「楽で楽しい」が大方針。締めサバをお客の目の前でバーナーで炙り焼きにする「炙り〆サバ」など、卒業生の店を含め、楽グループの店にはそれを体現したアイデアメニューが揃っているが、それに対して『福味み』のフードメニューは割烹料理が中心で、パフォーマンス性の高い商品はない。

その点では「楽グループらしくない店」にも思われるが、もちろん、その教えが活かされていないわけではない。楽で習得した繁盛居酒屋のノウハウを福留氏なりに解釈し、そのうえで「割烹料理を居酒屋として表現した」(福留氏)ことが『福味み』の大ヒットの鍵になっているのだ。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。