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坪月商44万円を誇る『福味み』が挑んだ「割烹料理の“居酒屋表現”」とは

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ユニークな形状のカウンターとテーブル2卓で客席を構成

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スタッフ一人ひとりが主役になれる店舗造作

一方、店舗デザインで一番に目を引くのがカウンターの造形だ。

店舗規模は14.5坪24席。厨房の中央に配置された焼き場を囲むようにカウンターを設置しているが、いわゆるコの字型ではない。直線、直角のカウンターではなく、斜めに曲げた箇所、曲線に設計した箇所などを織り混ぜたユニークな造形を施しているのだ。

設計はデザイン事務所「A-SWITCH」の秋本純一氏の手によるものだが、「秋本さんにお願いしたのが『スタッフ一人ひとりが主役になれる店づくり』でした」と福留氏は説明する。

「装飾はシンプルにとどめ、スタッフの動きが引き立つ店舗造作によってライブ感を創出したいと考えましたが、想定以上の仕上がりでした。厨房のど真ん中にある焼き場、前面に配置した刺し場、さらにドリンク場も一段高くなっていてすべての客席からスタッフ一人ひとりの動きが見える設計になっているんです。しかも、変形カウンターによって客席の賑わいがより強調されるため、居酒屋らしい空気感が自然と創出されるんですね」

メニュー構成と店舗造作で「割烹料理の居酒屋表現」を体現したことにより、『福味み』はオープン時から大ヒットを飛ばす。1週間先まで予約のみで満席になる集客力を発揮。客単価、月商はオープン以来、じわじわとアップし続けており、直近の6月実績で客単価8,300円、月商650万円を計上している。

売れ筋の「お造り盛り合わせ」(一人前1,200円)の注文を受けると、福留氏は桐箱に入ったネタをお客に見せておすすめのポイントを笑顔で説明する

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さらに「スタッフ一人ひとりが主役」というのは人材育成においても重視しているポイントだと福留氏は言う。

「日本料理店を離れ楽に入ったのは、修業にやりがいを見出せなかったからでした。日本料理店はお客様と直に接することがなく、スタッフ同士のコミュニケーションも希薄。調理技術を磨くことができても、商売がなんたるかということを学ぶことができなかったんです。楽はその真逆で、独立という目標に夢を持たせてくれた。ただ、中には独立を目指さない料理人もいますから、そういう希望にも応えられる店をつくりたいという思いを持っていました」

この福留氏の思いは早くも結実しようとしている。開業からまだ1年経っていないが、すでに2号店の出店準備に取りかかっているのだ。「これもスタッフが力をつけてきたからこそ。『福味み』の店長をスタッフに任せ、『福味み』とは異なる新しいスタイルの割烹料理店にチャレンジするつもりです」と福留氏は意気込みを語る。

『福味み』
住所/東京都渋谷区恵比寿南2-3-15 oak7ビル2F
電話番号/03-6303-1654
営業時間/月~土17:30~24:00(L.O.22:30)、日・祝17:30~23:30(L.O.22:00)
定休日/不定休
席数/24

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。