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新橋の老舗やきとん酒場が挑む新業態。『まこちゃん 中目黒店』に見る「進化」と「守り」

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写真手前右端から時計回りに、「シロ」(181円)、「レバー」(181円)、「ハラミ」(181円)、「トロシロ」(264円)、「素焼きレバー」(209円)、「まこちゃん名物 ぶたピーマンチーズ」(418円)

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安い、旨い、ボリュームがある。このやきとんの“売り”は変えない

一方で「フードの柱であるやきとんの商品力は守っていきたい」と西田社長は言う。

やきとんには創業時から注ぎ足し続けてきたタレを使用し、内臓肉も創業時より信頼関係を築いてきた精肉業者から仕入れている。また、特筆すべきはポーション。焼きとんの標準サイズは1本あたり30~40グラムほどだが、『まこちゃん』では1本あたり50~55グラムのボリュームが売りだ。

「中目黒店は女性客をメインターゲットにしていますから、『サイズダウンしてもいいのでは』という声もありましたが、『まこちゃん』というブランドを掲げるのであればこの点は変えられないと判断しました」

これは値付けでも重視したポイント。「シロ」「レバー」「ハラミ」などやきとんの中心価格は税抜き165円(181円)だが、西田社長いわく「これは中目黒の串焼きの相場よりも3割程度低い価格」とのこと。

「新橋の『まこちゃん』では税抜き145円(160円)がやきとんの中心価格。やきとんのカテゴリー原価率は50%を超えていますが、『安い』『旨い』『ボリュームがある』という売りを堅持するため、食材価格が高騰する中でも、145円という価格を貫いています。中目黒店でも同じ方針を採っているわけです」

写真手前から時計回りに、「もつ煮込み 秘伝味噌」(638円)、「まこちゃん鉄板もつ焼そば」(803円)、「アボカド塩昆布」(649円)

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「明日への活力を」というスローガンを中目黒スタイルの接客で実践

ドリンクも大幅にメニューを入れ替えた。新橋の『まこちゃん』ではサワー15種をラインアップするが、中目黒店ではオーソドックスなサワーの他に「こだわりサワー」のカテゴリーを設け、シロップ漬けの角切りレモンを使用した「名物まこレモンサワー」(616円)と広島県生口島瀬戸内町産の無農薬レモンを使った「瀬戸内レモンサワー」(583円)を名物メニューとしてアピール。また、お茶パック入りで3杯分の中身の注ぎ足しができる「江戸緑茶ハイ」(506円)を投入し、日本酒をボトルごと冷凍した「凍眠生酒」(2,178~2,728円)といったユニークなアルコールメニューも揃えている。

また、中目黒店でモバイルオーダーを初導入したが、これはサービスオペレーションを軽くするためではなく、より丁寧なサービスを実践することが狙い。同社は「明日への活力を」をスローガンに掲げており、その方針に則って新橋の『まこちゃん』では「距離感の近い接客」を採り入れている。仕事帰りの一杯では「たくさん飲んでってね」という親しげな接客の方が、お客の活力につながると考えているからだ。

写真左から、「江戸緑茶ハイ」(506円)、「名物 まこレモンサワー」(616円)、「凍眠生酒 花の舞 純米吟醸生原酒」(2,178円)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。