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新橋の老舗やきとん酒場が挑む新業態。『まこちゃん 中目黒店』に見る「進化」と「守り」

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スタッフのみなさんと。右から3番目がマックスフーズジャパンの代表取締役社長・西田勇貴氏

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東京・新橋の老舗やきとん酒場が新たなマーケットを掘り起こすため、2022年11月にオープンした『まこちゃん 中目黒店』。新橋のオフィスワーカーから絶大な支持を獲得している『まこちゃん』が、次なるターゲットにしたのは20~30代女性だ。新たな客層と利用動機を摑みとるために業態をどうつくり変えたか、逆に変わらない価値は何か。同店を運営する株式会社マックスフーズジャパンの代表取締役社長・西田勇貴氏に聞いた。

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コロナ禍によって新橋全体の客層が変化したことに危機感を覚えた

東京・新橋に3店を集中展開している『やきとん まこちゃん』は創業1968年の老舗やきとん酒場。新橋のオフィスワーカーに愛され続け、いずれの店も月商1,000万円を超える繁盛ぶりを見せている。その『まこちゃん』のニューモデルとして2022年11月にオープンしたのが東京・中目黒の『まこちゃん 中目黒店』だ。

『まこちゃん』を運営するのは株式会社マックスフーズジャパン。同社の西田勇貴社長は2019年に創業者である父親の西田眞氏から事業を引き継いだが、その直後、コロナ禍に。外出自粛によって「サラリーマンの聖地」と呼ばれる新橋からも飲み客の姿がすっかり消えてしまった。その後、少しずつ人流が回復する中で「新橋の飲み屋街全体の客層が変化していることに危機感を覚えた」と西田社長は振り返る。

1970年にオープンした『やきとん まこちゃん 新橋本店』は居酒屋が密集する新橋駅西口エリアに店を構える(写真提供:マックスフーズジャパン)

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「40〜60代男性の割合が明らかに減っていました。『まこちゃん』の主客層は30~60代男性ですから、新橋のみで店数を増やすのはリスクが高く、発展性も見込めない。そこで外出意欲が高く、コロナ禍の影響を比較的受けていない20~30代をメインターゲットにした『まこちゃん』のニューモデルを開発し、新橋以外のエリアで勝負することを決意しました」

フードの8割が新メニュー。思い切って業態をリモデルした

「『まこちゃん』のストロングポイントはやきとんの商品力です。それを核にしながら、中目黒店では業態コンセプトを大胆にリモデルし、ミドル価格帯の居酒屋ニーズの掘り起こしを図りました」と西田社長は業態づくりのポイントを説明する。

店内の中央に焼き台を囲むように配置された円形カウンターが内装シンボル。天井から吊り下げた焼き台の銅製ダクトも目を惹く(写真提供:マックスフーズジャパン)

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中目黒店の業態コンセプトは「おしゃれ」と「レトロ」を組み合わせた「おしゃレトロ」。新橋では10坪ほどの小型店を展開しているのに対し、中目黒店は37坪60席の中規模店となる。店内の中央に焼き台を囲んだライブ感溢れる円形カウンターを設置したほか、くつろぎの個室や開放感のあるテラス席などさまざまなタイプの客席を用意。女性のグループ利用やカップルのデート利用など、あらゆる利用動機に応えられるようにしている。

看板メニューであるやきとんは181~209円を中心価格帯として値頃感を訴求。タレや塩を使わず、醤油につけて食べる「素焼き」、オリジナルの串焼きを揃えた「創作串」などやきとんの新しい商品提案にも力を注いでいる

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商品構成も大きく変更した。中目黒店のフードメニューは約50品を揃えているが、そのうち新橋の店との共通メニューは約10品にとどめ、8割を新メニューに一新した。

もつやき以外のメニューで共通するのは「もつ煮込み 秘伝味噌」(638円)など3品のみ。「センマイ刺し」(858円)や「牛ハツ刺し」(858円)といった肉刺しメニューは新橋の店でも提供しているが、「センマイ刺し」にはチョジャンダレ、「牛ハツ刺し」には塩ごまダレを合わせるなど、中目黒店用に開発したタレで個性を出す。そのほか「アボカド塩昆布」(649円)、「ミモレットチーズ香るさといものから揚げ」(528円)など、女性客を意識した商品もメニューに加えている。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。