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なぜ『リストランテ カステッロ』は、千葉の郊外で年商3億円を稼げるのか!?

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畑でとれた野菜と厨房スタッフ。左から堤隼人さん、荒井孝太さん、松本幸子さん(パティシエ見習い)、熊岡ゆかりさん(パティシエ)、山田遼一郎さん

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20代で家のローンを払える給料を払ってきた

元スタッフによれば、山田シェフはスタッフからも慕われてきた。朝早くから一所懸命に働くシェフの姿を毎日見ているからだ。慕われるだけでなく、リスペクトと感謝されていると言っても過言ではないだろう。

「社員には20代で家を建てろと言ってきました。利益を従業員に還元し、彼らを幸せにするのもオーナーシェフの仕事」

20代後半の年収は600万円。結婚して家のローンを組める給料を払ってきた。5人の厨房スタッフのうち3人が既婚者。二代目の山田遼一郎さん(入社20年)は26歳で自宅を購入。荒井孝太さん(入社17年)は25歳のとき。堤隼人さん(入社10年)は2年前、28歳で店の近くに注文住宅を建てた。

ワイン担当の遼一郎さんによれば、飲んでこの先期待できそうなものは大量に仕入れるそうだ

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山田シェフは社員の将来だけでなく、店の未来を見据えた経営をしてきた。セラーで寝かせているワインもその一つ。ワインセレクトは二代目の遼一郎さんの担当。

「セラーにはワインが5,000本以上あります。買えるものがあるときは買っておけと息子に指示しました」

2023年10月、創業25周年の特別料理を提供する。期間中、「ジャコモ コンテルノ1995年バローロ リゼルヴァ モンフォルティーノ」を用意するつもりだ。

「ソムリエを募集中です。うちで働くソムリエは楽しいと思いますよ(笑)」

畑でとれたバジルやナスなどを使ったトマトのパスタ

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「お客様が入って初めて店のデザインが完成します」

当初500坪の店舗に加え、道路を隔てた反対側にある栗林を開墾した畑で営業してきた。近年、畑に隣接する雑木林や、市内にある土地などを購入した。全体としてどれほどの土地を所有しているのか「正確にはわからない」という。

「息子の代になったらオーベルジュにする計画を温めています。僕ができなかったことを息子に託します」

青写真を思い描いているようだが、夢を具体化するのはもう少し先のようだ。

「誰にもできないことをしてきたわけではありません。若い頃は目をつぶってでも料理を作れるぐらい感覚を磨いてきたつもりです」

シェフは栃木県足利出身だが、縁あって佐倉で開業した。どこで修業をしようが、故郷での独立は夢があるし、素敵なことだと山田シェフは若い料理人の背中を押す。

山田シェフが創った『カステッロ』という非日常的な空間への扉

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ただし、「東京で修業したから地方で開業しても大丈夫だとは限らない」と指摘する。東京で修業したことが裏目に出ることもありうる。なぜなら、東京で受けても地方では受けない料理もあるからだ。

「そんなとき、『わかってねえなあ、田舎の人は』と思いがち。でも、それは間違い。料理人はアーティストであると同時に、ビジネスマンでもある。お客様に喜んでいたくことが大切」

リピート率をあげ、潤う店にするには、客の要望や意見に耳を傾けることも重要だと説く。

「どんな店を作るとしてもお客様が入って初めて店のデザインが完成します。これだけは覚えておいてください」

『リストランテ カステッロ』
住所/千葉県佐倉市臼井1567-2
電話番号/043-489-8951
営業時間/11:30~15:00(L.O.14:00)、17:30~21:30(L.O.20:00)
定休日/水曜日に加え臨時休業あり
席数/128
https://ristorante-castello.jp/

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。