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コース料理を軸に坪月商47万円を売る『神泉たつ』。具現化された「居酒屋以上、割烹未満」

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「おまかせ十品」の1品である「前菜の盛り合わせ」。割烹料理の八寸をイメージした商品だが、「シャインマスカット イチヂク白がけ」、「トマト アスパラ 土佐酢ジュレ」などフルーツを用いた料理や洋テイストの料理を織り交ぜて彩りや味わいに変化を付けている

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看板メニューは、原価率55%超の「おまかせ十品」

「おまかせ十品」の基本構成は月替り。仕入れの内容によって日替り商品も織り交ぜている。取材時のコース内容は以下の通りだ。

【先付け】自練り焼栗胡麻豆腐
【お造り】ニュージーランド産本鮪、北海道羅臼鰤、福井赤貝、長崎黒ムツ、青森ヒラメ
【前菜盛合せ】合鴨と白ネギ焼き漬け、安納芋 銀杏 ベーコン串焼き、目光の天麩羅、アオリイカと筍の薩摩揚げ、トマト アスパラ 土佐酢ジュレ、シャインマスカット イチヂク白がけ、北海道 真蛸の旨煮、万願寺唐辛子の焼き浸し
【温菜】新物イクラと百合根の茶碗蒸し
【冷菜】里芋と男爵の饅頭 ずわい蟹餡かけ
【焼き物】秋刀魚炭焼き 鴨川蓮根焼き
【肉料理】佐賀牛肩ロースすき焼き
【椀物】蛤と蒸しカブ三つ葉のお椀
【〆物】極み本鮪極上手巻き
【甘味】マスカルポーネ、ほうじ茶、焦がしキャラメルの3種のアイスクリームの中から1品をチョイス

季節感を重んじる割烹料理を下地としながら、フルーツを用いた料理や洋テイストの料理、手掴みで食べる手巻きずしなど創意工夫に富んだ料理を揃えて独自性を訴求。また、「おまかせ十品」のコース原価率は55%を超え、そのお値打ち度の高さが強力な集客のフックになっている。

アルコールの売れ筋は日本酒と酎ハイ。酎ハイは定番の4品のほか、「カボスサワー」(700円)、早生みかんサワー」(700円)など季節の柑橘サワー2品を用意している

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アラカルトメニューを含めたフード原価率も50%以上。収益アイテムとなるのはアルコールだ。売れ筋の日本酒は10種を揃え、価格は1合サイズで1,000〜1,600円。酎ハイ6種、茶割4種は660〜700円、ウイスキー6種は660〜950円という価格設定を採り、アルコール売上比率30%を確保。トータル原価率は36%に着地している。

写真右手前から時計回りに、「佐賀牛肩ロースすき焼き」、「極み本鮪極上手巻き」、「里芋と男爵の饅頭 ずわい蟹餡かけ」

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差別化はサービスで! そのために「接客しやすいカウンター設計」を施した

『神泉たつ』の店舗デザインで目を惹くのが「逆L字型カウンター」だ。キッチンを囲む通常のL字型カウンターを逆向きにしたような造りで、客席をカウンターで囲い、角に板場を配置するユニークな造形が印象に残る。

「逆L字型カウンターにすることで、すべての客席から板場が見られるようにしており、ライブ感を演出しています。また、通常のL字型カウンターだとカウンター端のお客様にキッチンスタッフが背中を向けることになりますが、逆L字型カウンターはすべてのお客様の方を向きながら板場で作業できるため、お客様と会話を交わしやすいんです」(三木氏)

お値打ち度の高い「おまかせ十品」によって目的客をがっちりと掴み取っているわけだが、ハイクオリティな外食店が軒を連ねる神泉エリアにおける差別化策として、三木氏は「接客サービス」を挙げる。

厨房を囲む形ではない「逆L字型カウンター」を採用。銀杏の木を天板に用いた白木のカウンターは奥行きを広めにとっている

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。