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『高円寺 動悸』わずか3か月で月商650万円達成! 仕掛け人が語る “勝つ”コンセプトの作り方

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囲炉裏を囲んだコの字型カウンターを客席のメインとしてライブ感を演出。天井の低い物件だったため、その物件特性を活かして隠れ家的な店のつくりにした(画像提供:フードクルーズファクトリー)

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業態開発では「どういう価値を売るか」と「価値をどう伝えるか」を重視

業態開発時に重視することは何か。この問いに対し、森氏は「『どういう価値を売るか』ということ、さらに『その価値をどう伝えるか』ということ」と答える。

『高円寺 動悸』であれば、「分子栄養学に基づく健康に配慮した料理」が売るべき価値だが、難しいのがそれをどう伝えるかということだ。「『ヘルシーな料理=美味しくない』というイメージが定着してしまっていますから、それを覆すブランディング策を講じなければならない」と森氏は説明するが、そのために考案したのが「食べると勝手に“ととのう”居酒屋」というコンセプトである。

フードメニューは分子栄養学カウンセラーの岩本綾子氏が監修し、ミシュラン星付きの和食店『銀座うち山』で実績を積んできた寺田嗣佐夫氏が商品開発をサポート。「商品力には自信を持っていますが、ただ『身体に優しい』『クオリティが高い』というだけではその価値を伝えきれません。トレンドワードである『ととのう』と表現することで、『美味しい食事を楽しんでいたら、身体も心も癒される』という価値がダイレクトに伝わるようにしたんです」と森氏は説明する。

フードメニューは原始焼、炭火焼をメインとして12カテゴリーで65品を揃え、中心価格帯は660~1,320円

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香港、台湾の点心専門店で定番の「腸粉」をいち早くメニューに採り入れる

では、具体的にメニューラインアップを見ていこう。フードメニューは12カテゴリーで計65品を揃えており、メインはコの字型カウンターで囲んだ囲炉裏で焼き上げる原始焼だ。一品料理やデザートなどはグルテンフリー、カゼインフリー、低糖質の料理を用意しているが、目を惹くのがその豊富なメニューバリエーションだ。

原始焼は鮮魚5品、炭火焼は野菜の創作料理6品を用意し、写真の「特大海老」(1,320円)は原始焼の売れ筋

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例えば、お通しとして提供される「焼胡麻豆腐」(330円)は寺田氏が『銀座うち山』から受け継いだ料理。前菜メニューの売れ筋である「名物!とうもろこしのムースと生雲丹」(1個418円)もそうだが、低糖質の料理とは思えないしっかりした甘味と濃厚な旨味を味わえる商品に仕上がっている。

グルテンフリーのため、小麦粉ではなく、米粉をさまざまな商品で使用しているが、米粉を用いた名物メニューが「名物!揚げ湯葉と海老の腸粉」(3カット660円)。腸粉(ちょうふん)は米粉でつくる広東式点心のひとつで、台湾や香港の点心専門店では定番メニューであるものの、日本国内の点心専門店で置いている店は少ない。米粉を小麦粉の代用品とせず、トレンド料理でもある点心の一品としてメニューに組み込むことで商品力を高めている点も特筆される。

写真手前から時計回りに、「名物!揚げ湯葉と海老の腸粉」(660円)、お通しの「焼胡麻豆腐」(330円)、「名物!とうもろこしのムースと生雲丹1個」(418円)、「ラズベリーバスクチーズケーキ」(605円)

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血糖値が上がりにくい高アミロース米のササニシキに「飲む美容液」と呼ばれる「ボーンブロス出汁」を合わせた「UNIGIRI茶漬け」(880円)、グルテンフリーで糖質80%オフの「ラズベリーバスクチーズケーキ」(605円)など、このほかにも和洋中の幅広いジャンルの創作料理がメニューには並んでいる。

ドリンクはレモンサワーやハイボール、日本酒、焼酎、ワインなど計90品をラインアップ。7種を揃えるレモンサワーは福岡・博多の『BAR山口』がレシピを監修し、茶割りには地元・高円寺のお茶専門店『茶処つきじ』の煎茶と吉祥寺の中国茶専門店『青蛾茶房』から仕入れる茉莉花茶(ジャスミン)を使用するなど、フードと同じようにドリンクも1品1品の価値を高める工夫が髄所に施されている。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。