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学芸大学『警視鳥』、空中階でも1日80人を集客。「焼き鳥×オシャレ空間」の意外性で大ヒット

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2面がガラス窓で、外が見えるカフェのような空間。カウンター席、テーブル席、全40席

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カフェのような空間×映える居酒屋料理=『警視鳥』

2号店の出店を考える際は、明確なイメージがあったという。それは、「元祖夜カフェ」「老舗カフェ」などと表現される渋谷の人気店『宇田川カフェ』。泉氏はもともと大きな箱で大衆酒場のような店を出したいと思っていたこともあり、初めて見たとき「こんな店で焼き鳥を提供したら、絶対流行る!」と確信したのだそう。それを実現させたのが、駅から徒歩3分、『鳥せん』の約3倍・21坪の広さを誇る『警視鳥』だ。

モルタル壁の無機質な空間は、表参道で見た香水店から着想。スタイリッシュなカフェを思わせる内装は、桜新町の『OGAWA COFFEE LABORATORY』を参考にしたという。店内のレイアウトは、店員の動きが見えるオープンキッチンに。調理の音を聞いて、香りを感じて、「五感で食事を楽しめる」ライブ感のある空間に仕上げた。カフェのように洗練された空間で、1号店で自信をつけたリーズナブルな焼き鳥を提供する、まさに「居酒屋っぽくない居酒屋」が完成した。

しかし、『警視鳥』も路面店ではなく、ビルの2階という立地。集客面での懸念はなかったのか尋ねると、「結局、良いお店であれば、お客様はどんな場所でも来てくださるんですよね」と笑顔。実際、おしゃれな内装と気楽な使い勝手のギャップが受け、2022年10月のオープン直後から人気に。客単価は3,200円と想定通りで、平日でも18時台には満席になる繁盛ぶりだ。

焼鳥の一例。上段左からふりそで、すだちしそふりそで、レバー、下段左から月見つくね、生姜はつポン酢、せせり

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『警視鳥』では二次元コードによるテーブルオーダー制を採用。串は、寿司の盛り板のようなプレートに載せて提供される。しかも1本約70gと、一般的な串より一回り大きい。「150円で小さな串を出すより、300円でボリュームのある串を食べるほうがいいでしょう?」と、ここでもお客の満足度を高める泉氏の工夫が光る。

映えるビジュアルの一品料理も見逃せない。ゆで卵が丸々乗った「ポテサラ」は、箸で割ると半熟の黄身がトロリ。土台のポテトサラダと一緒にいただけば、まろやかな味わいが口いっぱいに広がる。鶏の希少部位とされる「ちょうちん」も人気メニューの一つ。泉氏は「ほかの店にもあるのになぜか人気なんです」と言うが、口の中でぷちっとはじける食感や、濃い黄身の旨みに「ここで初めて食べてはまった」というお客は多い。また、いくらの下に酢飯……ではなく、甘い卵焼きを忍ばせた「いくら軍艦だし巻き卵」も面白い。どれも思わず写真を撮りたくなるような、充実のラインアップだ。

いくら軍艦だし巻き卵(690円)。こぼれんばかりのいくらの下には、甘い味付けのだし巻き卵が(写真左)/ちょうちん(1本260円)。見た目のインパクトに加え、滋養もたっぷり(写真右)

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メニュー開発は料理人と相談するが、アイデアは泉氏がインスタグラムで見かけた画像から着想することが多いという。「和」「洋」などに捉われず、中華料理、タイ料理、ロシア料理でも、ピンときたメニューは取り入れてみる。新メニューは毎月2種登場し、リピーターを飽きさせない。

ピリ辛の麻婆豆腐に口当たりの良いトロトロ白子を合わせた「白子麻婆豆腐」(690円)。「和風×中華」と、ジャンルを超えた組み合わせもユニーク(写真左)/ポテサラ(490円)は絶妙な半熟具合の卵を割ると、中から黄身が流れ出る(写真右)

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門田聖子

ライター: 門田聖子

広告代理店勤務を経て、ライター&フォトグラファーとして活動。 新聞、雑誌、WEBサイト、広報紙、メルマガ、ラジオ原稿、キャッチコピー、校正など実績多数。 小説、写真の受賞歴あり。FP技能士2級。ただいま日本百名山挑戦中! https://mondenseiko.net/