学芸大学『警視鳥』、空中階でも1日80人を集客。「焼き鳥×オシャレ空間」の意外性で大ヒット
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こだわり過ぎず柔軟に。3号店出店と、さらにその先を見据える
肉の仕入れ先は、『鳥せん』で長い付き合いのある業者のほか、経営上のニーズに応じて変えている。泉氏いわく「高値の地鶏など素材にこだわることも大切ですが、リーズナブルな肉でも味付けや焼き方を工夫することで、地鶏以上に美味しい一本になる」とのこと。
また、二次元コードを読み込むオーダー方法は、オープン直後は導入していなかったが、試してみるとお客とスタッフ双方のストレスが軽減されたと歓迎する。一つのことに固執せず、何事も柔軟に対応していくのが泉流だ。
一方で、繁盛店といわれてなお、経営への姿勢は慎重。
「ここまでは順調に売上を伸ばしてきていますが、一年後はどうなっているか分からない。だからこそこの先を見越して、いまやるべきことがあると思っています。たとえば原価管理は、実はここまで感覚でこなしてきた部分もあって。でも今後はきちんと原価計算をして、FL比率をしっかり調整していくことの重要性を感じています」
また、スタッフの管理・育成については、非常に重要としながらも、やはり難しいと語る。
「ただもちろん、人がいないと何もできませんから、今後は人材育成にも力を入れていかねばと思っています。そのほか、17時台の集客や、お客様とほどよい距離感を保ったうえでの接客力なども強化したいところ。何年も店が続いている経営者は、“今の課題”を先送りにしていないはずなので、オープン一年を機に、課題を解決できるよう頑張っていきたいです」
好調ぶりにあぐらをかかず、一週間に一回のミーティングで気付いた点をスタッフに共有し、常にブラッシュアップし続けている『警視鳥』。また、2024年には『鳥せん』を改装し、中目黒・恵比寿あたりで3店舗目の出店も考えているそう。3店舗目をオープンできたら、その先にはフランチャイズ展開を見据えているという。泉氏がプロデュースし、「焼き鳥店をやってみたい」という人を支援する予定だ。そのときは、自分自身の苦労や助けてくれた仲間の話も含め、あらゆる経験を伝え、親身に寄り添いたいと思いを語る。
「働いている人たちに目標を持ってもらうことは、彼らのモチベーションアップにつながります。飲食店は間口が広く、出口が狭い。飲食の世界に入ること自体は難しくないですが、独立となるとハードルが高いんです。だからこそ経営の手法や技術などを示し、出口へと導いてあげたいんです」
社名「Nowhere」は「どこにもない」という意味。ピンチもチャンスも経験し、型にはまらない独自の店を作り上げた泉氏の、次の挑戦に注目したい。
『警視鳥』
住所/東京都目黒区鷹番3-18-21 ツインタウン学芸大学2F
電話番号/03-4400-5176
営業時間/17:00~24:00
定休日/不定休
席数/40席
