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2か月先まで予約が埋まるおでん店『関西煮 理』。50代で三重から中目黒へ移転、そのワケとは?

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1組1つは頼むという「鉄板焼きトマトリゾット」。提供直前におでん出汁をまわしかけるパフォーマンスも人気だ

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はまぐりラーメンを投入し、ワインなど酒類の品揃えを拡充し客単価2倍に

東京出店にあたり『関西煮 理』では定番の「おでん」(一品200円〜、10種盛り2,000円〜)、人気の「鉄板焼きトマトリゾット」(1,500円)に加え、新メニューを投入した。それが三重の名産であるはまぐりとおでん出汁のうま味を掛け合わせた「はまぐりラーメン」(1,500円)だ。いまでは〆の二大巨頭として「鉄板焼きトマトリゾット」と人気を二分している。

料理のメニュー表はなく、ドリンクメニューにも価格の表記はないが生ビール800円、「ヒトミワイナリー」のグラスワインが1,800円、日本酒1合1500円〜という値付けだ

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そして中目黒出店に合わせて変えたのが、酒の品揃えだ。「中目黒でお店をやるならシャンパンなど良いお酒をいれたほうがいい」というアドバイスを受け、「レコルタン・マニュビュラン」や「コトー・シャンプノワ」など無農薬栽培にこだわったシャンパーニュ、滋賀県の「ヒトミワイナリー」のワイン、ラグジュアリービールの「ROCOCO」などを揃えた。さらに「而今」や「田光」「作」といった三重県の地酒のほか、「新政」「風の森」などプレミアムな日本酒も並ぶ。酒への感度が高くセンスが求められる中目黒において、この戦略が奏功し、客単価の半分はアルコールのオーダーが占める。

もちろん東京進出にあたって、料理などメニューの価格変更も行った。じつは同店、三重時代から料金を表記していない。これは鮨屋に価格表記がないのと同じだと理さんは話す。

「一つひとつ僕が丁寧に作って味見した自信のある料理です。その価値に納得してくださるお客様に来てもらいたいと思っています」

席数自体は三重時代の半分の15席に減ったものの、以前の客単価が5,000〜6,000円だったのに対し、中目黒では10,000〜12,000円と約2倍になった。売上も三重時代の約2倍に増収したという。

ちなみに三重の『おでんのオサム』は、閉店を惜しんだ元常連客の男性によって『オサムの分家』としてリニューアル。理さんがレシピなどを伝授し、その味をいまも引き継いでいる。

今後の展望について伺うと「来年春ぐらいには妻も東京に呼び寄せられればと思っています。お店については店舗数を拡大する予定はなく、できるだけ長く東京でやっていきたいですね。中目黒のおでん屋として全国的にも有名になれたら嬉しいです。著名な方や海外の方も多く来店してくださって、三重時代には体験できなかったようなことがあり、すごくワクワクしています」と理さん。30年積み上げてきたものを活かしつつ、50代で新たに地方から東京出店に踏み切った、その勇気と努力が実を結んだ様子は、多くの人の励みになりそうだ。

『関西煮 理』
住所/東京都目黒区上目黒2-16-1 リードシー中目黒3F
電話番号/090-8863-2562
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:30)
定休日/無休
席数/15
https://www.instagram.com/oden_0368

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。