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能登半島地震、輪島で炊き出しを続ける『ラトリエ ドゥ ノト』シェフ池端隼也さんの「今」

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落ち着いたら農業をやりたい

「こういう状況になると、自分の生きる意味は何だろうとか、何のために僕は生きてきたんだろうって思うんですよ。自分が今できることは何なのか。料理はずっとやってきたんで、今、できることは料理なんです。料理で人を元気にしたい。あと、僕、今みんなに言ってるのは『出稼ぎ行きます』って。いろんな人から、こっち来てイベントしてよってたくさん声をかけられています」

池端さんはよその場所でレストランをやることは考えていないという。それは、ここが池端さんの地元だからというだけでなく、能登の魅力を料理を通してゲストに伝えることこそが自らの使命だと考えているからだ。

「今年と来年、もう僕は店はできないと思っています。七尾あたりだったら再開できたと思うんですけど、輪島はインフラの復旧にもしばらく時間がかかると思う。もし『ラトリエ ドゥ ノト』をまたやるならば、その前に生産者さんの支援をやらなければと思っています。

まずは近くの農家さんをバックアップして、農作物を作れるようにしたい。ラトリエで一番お世話になっている上田農園の上田さんに『今後まだ農業やる?』と聞いたら、『やりたいです、どんな状況下でも僕は美味しい野菜作れます』と。実際彼は今まで10年間、どんなときも本当に美味しい野菜を作ってきたので、それなら、炊き出しメンバー何人かで、飲食のインフラが整うまでは農業しようぜと言ってます。そもそも、僕がなぜ輪島で『ラトリエ ドゥ ノト』をやろうと思ったかというと、山や海などの自然環境が素晴らしいのはもちろん、素晴らしい生産者さんがたくさんいるからなんです。彼らが周りにチームでいてくれてこその『ラトリエ ドゥ ノト』なんです」

「昨日は金沢のシェフたちが来てくれたんですよ。久し振りに会って、涙出ました」と池端さんは言う。復興に向けて、周囲のサポート態勢が整っていくのはこれからだ。

『L’Atelier de NOTO(ラトリエ ドゥ ノト)』
所在地/石川県輪島市河井町4-142
席数/26
https://atelier-noto.com/

池端隼也(いけはた・としや)
1979年、石川県輪島市生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、大阪『カランドリエ』を経て2006年に渡仏、4年半にわたりフランス国内の星付き店で腕を磨く。帰国後、2014年に地元輪島で『ラトリエ ドゥ ノト』を開業。

【被災地支援に関する情報】
・日本飲食団体連合会「能登半島地震支援金募集 開始のお知らせ」
業界団体「食団連」による支援金募集。「石川県令和6年能登半島地震災害義援金窓口」をはじめ、飲食店や食産業に携わる事業者・団体へ100%寄付。

・北陸チャリティーレストラン「能登半島地震における被災地支援ご協力のお願い」
被災地で炊き出し活動を行っている支援グループ。支援金は炊き出しの活動費を中心に、被災飲食店及び被災地のために活用。

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うずら

ライター: うずら

レストランジャーナリスト。出版社勤務のかたわらアジアやヨーロッパなど海外のレストランを訪問。ブログ「モダスパ+plus」ではそのときの報告や「ミシュラン」「ゴ・エ・ミヨ」などの解説記事を執筆。Instagram(@photo_cuisinier)では、シェフなど飲食に携わる人のポートレートを撮影している。