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月商700万円を売る高円寺『酒場ニホレモ』。キャッチーな業態づくりがヒットの鍵に

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『酒場ニホレモ』の店頭にて、同店を運営する株式会社REQDの代表取締役・柴崎洋平さん

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中央線カルチャーを代表する街、高円寺。ファッションや音楽などのサブカル文化にハマる若者が、国内外から集まる人気のエリアだ。古着屋やライブハウス、楽器店のみならず、飲食店もまた個性派揃いである。

そんな高円寺にあって、いつも20代女性で席が埋まる人気の居酒屋がある。日本酒とレモンサワーの専門店『酒場ニホレモ』だ。同店を運営する株式会社REQDの代表取締役・柴崎洋平さんに、ヒットの理由を聞いた。

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1階はカウンター席、2階はテーブル席。木目とモルタルを組み合わせたスタイリッシュな内装。居抜きではないので内装の自由度が高かった

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商店街から路地へ入った2階建て。“余りもの物件”での戦い方

『酒場ニホレモ』は高円寺純情商店街から、1本路地に入った場所にある。駅から徒歩3分ほどだが、人通りが多い立地ではない。中央線沿線で出店地を探したものの、希望条件に合う物件が見つからず、随分時間をかけた末に決定したという。

「ここは半年近く空いていた、いわゆる“余りもの物件”でした。しかも2階建て物件で、飲食店をやるには難易度が高い。ただ、一緒に働く予定のシェフをお待たせしていたこともあって、僕も早く物件を決めたいと思っていたんです。ちょうどその時に賃料が下がったので、『ここでやれたら、どこでもやっていける』というポジティブな気持ちでここに決めました」

不利な立地だからこそ、この店を目指して来てくれる目的来店を狙うしかない。その観点から『酒場ニホレモ』という業態がつくられたという。

「飲食店を探して行ってみるという冒険心が強いのは、圧倒的に女性です。だからターゲットは女性に寄せました。6年前の開業当時、じわじわと女性人気が高まっていた日本酒と、もともと女性人気の高いレモンサワーの2本柱で『酒場ニホレモ』と命名しました」

入り口横の壁に描かれたイラスト。レモンサワー専門店なだけに、使用するレモンにこだわりがある

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同店では全国の蔵元から仕入れた地酒が次々と入れ替わり、いつも新しい日本酒を提供している。また、レモンサワーは国産レモンを使用したオリジナルの6種類に加え、季節限定の商品も面白い。日本酒とレモンサワーとくれば和風居酒屋を想像するが、料理は洋風テイストのものが多いのも特徴だ。

日ごとに変わる日本酒メニュー。日本酒はこだわりの蔵元から取り寄せる

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「料理はイタリアンやスパニッシュなど、洋食出身のシェフが考案しています。横文字でハイソな西欧料理というよりも、本格的ながら親しみやすい居酒屋メニューに落とし込むようにしています。居酒屋って『なんでもある』のが魅力だと思うので、カジュアルになんでも食べられる中に、おしゃれな洋食風デリもある感覚です」

これらのデリは、軒先でテイクアウト販売もしている。ランチタイムにはお弁当としても販売しており、すぐ近くの公園でピクニックを楽しむ客の姿も見られる。

「吉祥寺の『カーニバル』という店で、お惣菜をご飯の上に乗せたお弁当を販売していて、新しい店を出す時に取り入れたいと思っていたんです。高円寺ではこういった中食スタイルはあまりないので、おしゃれな感じでやりたいなって。新型コロナ発生前の出店だったので全く意識していなかったものの、結果的に運がよかったというのもありますね」

店頭のテイクアウトデリコーナー。惣菜をご飯に乗せる『のせ弁(700円)』ほか、惣菜単品やドリンク各種を提供

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。