飲食店の業務効率化をサポートする「中小企業省力化投資補助金」の申請受付がスタート
円安などによる原材料の価格高騰など、飲食店はさまざまな課題を抱えているが、大きな課題のひとつが人手不足だ。そこで、人手不足に悩まされている飲食店を含む中小企業を対象に、省力化できる機器の導入に対してその補助を行う「中小企業省力化投資補助金」の申請が6月25日から始まった。ここでは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する中小企業省力化投資補助金について、対象者や申請の流れを解説する。
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「中小企業省力化投資補助金」とは
新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことにより、インバウンド需要などによる消費が増え、売上も回復してきたものの、飲食店ではまだまだ多くの課題がある。そのような飲食店を含む中小企業に対し、省力化製品導入の経費を一部補助する中小企業省力化投資補助金が開始された。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業を対象とした補助金で、IoTやロボットなど人手不足解消に効果がある省力化製品を導入し、付加価値や生産性の向上、賃上げにつなげることを目的としている。
清掃・配膳ロボット、スチームコンベクションオーブン、券売機、自動精算機などが対象
省力化製品については、中小企業省力化投資補助金のウェブサイトに掲載されている製品カタログから確認可能だ。飲食サービス業を対象とした機器カテゴリでは、清掃ロボット、配膳ロボット、スチームコンベクションオーブン、券売機、自動精算機が挙げられている。このカタログに掲載されている機器を導入した場合のみ、補助金の対象となるため注意しておきたい。
また、補助率は2分の1となっており、上限金額は下記のとおり。なお、「事業場内最低賃金を45円以上増加させる」「給与支給総額を6%以上増加させる」という賃上げ要件を達成した場合、下記の括弧内の金額に上限が引き上げられる。
・従業員数5名以下:200万円(300万円)
・従業員数6〜20名:500万円(750万円)
・従業員数21名以上:1,000万円(1,500万円)
対象事業者は人手不足の状態にある中小企業などで、直近の従業員の平均残業時間が30時間超や、従業員の減少が前年度比5%以上など、人手不足であることが確認できなければならない。
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「中小企業省力化投資補助金」申請の流れ
中小企業省力化投資補助金の第1回公募回のスケジュールは下記のとおりとなっている。
・受付開始日:2024年6月25日(火)
・申請締切日:2024年7月19日(金)予定
・採択・交付決定日:2024年8月下旬予定
詳細なスケジュールはまだ公表されていないが、申請フローは下記の流れになっているため、準備できるところは先に進めておくといいだろう。
1、gBizID(法人・個人事業主向け共通認証システム)の取得
2、省力化製品の選択等の事前準備
3、交付申請
4、補助事業の実施
5、事業実績報告
6、補助金交付手続き
7、事業実施効果報告
なお、製品導入後は、事業計画の達成状況(省力化の効果、賃上げの実績)の事業実績報告を行い、それに基づいて補助金額が確定し、補助金が交付される。さらに、補助事業終了後の5年間、毎年4月から6月までに効果報告を行う必要があるが、労働生産性の目標未達や人員整理、賃金の引き下げなどを行っていた場合、補助金の返還などを求められる点には注意したい。
人手不足に悩む飲食店にとって、清掃ロボットや券売機の導入経費が補助されるのは助かるはずだ。店の課題解決ができる省力化製品を検討し、うまく補助金を活用して生産性向上や人手不足の解消、賃上げにつなげてもらいたい。
