飲食店ドットコムのサービス

『居酒屋燃えた うらめし屋 赤羽』の再起劇と金言。被害総額2,000万円、店舗焼失も情熱は燃え尽きず

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

洒落た内装で女性客の心をつかむ

画像を見る

火災から4か月後の新店舗オープン

合同会社GoZは居酒屋の店員5人が集まって2018年に設立された会社である。それが5年目に約2,000万円の損害を出したのであるから、存続の危機に陥るのは当然。それでもこうして新店舗にシフトして経営できているのは、主に2つの要因があるという。

「それ(会社の存続に影響する)ぐらいの規模の損害ではありました。しかし、(グループ内の)他の店舗もありましたので、焼けた店舗の従業員を割り振れたこと、酒屋さんとも仲良くさせていただいていたので支払いを遅らせてもらうなど、うまくキャッシュが回るように調整していただいた、それらの点が大きかったです」

もともと会社としては10店舗ぐらいまでは拡大していく経営方針であり、また、従業員の働き場所の確保という点からも火災で大きな被害が出たから拡大路線を見直すという考えはなく、早く新店舗をオープンしようという方向で立て直しを始めた。その結果、経営上、外部の協力者の助けも得ながら、火災から4か月後の2024年4月23日、旧店舗とは異なる場所に『居酒屋燃えた うらめし屋 赤羽』がオープンする運びとなった。

旧店舗は「せんべろ」(1,000円で十分酔える価格設定)も多い土地柄から、客単価2,300円程度であったが、新店舗は4,500円程度になっている。内装も今風なおしゃれなもので、これは濱田氏が望んでいた「カッコいい居酒屋」を現実化したもので、内装が出来上がった時には赤羽という土地を考えると「おしゃれすぎないか?」という声が出たほどだという。また、大西代表が牛タンと海鮮をメインにする店舗を望んでおり、そのメニュー構成であれば客単価はアップせざるを得ない。

これは旧店舗が午前4時まで営業できたものが、新店舗は入居先の建物の制約から午後11時までしか営業できず、低い客単価では利益を出すのが難しいという状況も考慮された。場所や物件に適した営業形態は飲食業の基本で、旧店舗を引き継ぐという思いは持ちながら、“箱に合わせた営業”がなされている。

人気の「牛タンてっさ」(ハーフ1,080円※税別)とお通しの「モツ煮」(390円※税別)

画像を見る

新店舗で新たに加えたメニュー「牛タンてっさ」は牛タンをふぐのてっさのように薄くスライスして、生で食べる。ローストビーフに近い味わいも、ローストビーフほど肉の主張が強くなく、ブラックペッパーと塩胡椒が効き、合わせて食べるネギとの調和が取れ、思わず酒が進む。来店客はほとんど注文していく人気メニューとなっている。お通しの「モツ煮」はお代わり自由で、濃い味噌味は日本酒との相性が抜群。何杯もお代わりをする人もいるという。

おしゃれな内装に比較的高単価ということで、女性客が6割程度を占める(旧店舗は5割程度)。こうして大胆な客層の変化を狙う店舗の方針は功を奏し、開店直後から「繁盛店と呼ばれるレベルには入る」売上を記録し、「申し分ない」状態(ともに濱田氏)にあるという。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/