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『松屋』が7月16日から1都6県で深夜料金を導入。飲食店が深夜料金を導入する背景は?

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大手牛丼チェーンの『松屋』が、7月16日から深夜料金を導入した。大手牛丼チェーンでは『すき家』が4月から深夜料金を導入しており、未導入なのは『吉野家』だけとなった。今回は『松屋』が深夜料金を取り入れた背景と、すでに導入している飲食チェーンについて紹介する。

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『松屋』では通常料金の7%前後の深夜料金を加算

7月16日(火)から、大手牛丼チェーンの『松屋』が深夜料金を導入した。通常料金に7%前後加算される。

同時に「牛めし(並盛)」や「牛焼肉定食」「ソーセージエッグ定食」など、一部商品で価格改定を行っている。例えば「牛めし(並盛)」は400円から430円へ値上げされ、同日より午後10時から翌午前5時までに注文した場合、さらに深夜料金が加算されて460円となる。アプリやウェブで予約し店頭で受け取る「松弁ネット」で注文した場合は、受取日時が基準となる。

『松屋』では5月13日から一部店舗において深夜料金を試験的に導入していたが、それを1都6県(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県)の『松屋』『松のや』(併設店の『マイカリー食堂』を含む)に拡大した形だ。なお、高速PA店舗、成田空港第3ターミナル店、サテライト東中野2丁目店、松弁KITCHEN(西武柳沢店・中河原店)、松のや鶴見東口店、マイカリー食堂(三鷹店・上野店・板橋本町店・高田馬場店)では、深夜料金は加算されない。

『松屋』を運営する株式会社松屋フーズは、価格改定の理由を「原材料価格の高騰や光熱費、人件費、配送費、包材費などの上昇、および為替変動の影響を受けたため」としている。深夜料金導入の理由については、深夜営業の人件費に転嫁するためだと考えられる。

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すでに深夜料金を導入している飲食チェーンは?

大手牛丼チェーン以外でも、深夜料金を取り入れている外食業態は増えてきた。例えばファミリーレストランでは、『ガスト』『ジョナサン』『バーミヤン』『サイゼリヤ』『デニーズ』など、ほとんどのチェーンで深夜料金を導入しており、午後10時から翌午前5時に10%加算されるのが一般的だ。

居酒屋チェーンでは、株式会社モンテローザが運営する『白木屋』『魚民』『笑笑』などで深夜料金として午後10時以降に15%加算されるものの、深夜料金を導入している居酒屋チェーンは多くない。

労働基準法では午後10時から翌午前5時までは深夜勤務として定められており、この時間に勤務する場合、25%割増の報酬を支払う必要がある。深夜料金を導入している飲食チェーンが増えている背景には、人件費への転嫁が主な理由にあると考えられる。

これまでは深夜割増の人件費をなんとかまかなえていたとしても、原材料費や人件費が高騰してきている現在では、それが難しくなる店舗も出てくるはずだ。今後は、深夜料金の導入によって、深夜営業の人件費を捻出する企業が増えるかもしれない。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com