2024年度の最低賃金、全国平均時給は1,054円へ。飲食店に求められる対応は?
7月25日、厚生労働省の中央最低賃金審議会は、2024年度の最低賃金引き上げ額の目安を発表した。引き上げ額は過去最大の50円。今年の10月より、時給の全国平均は1,054円になる見通しだ。
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引き上げ理由は、物価上昇への対応
最低賃金とは、国が最低賃金法に基づいて定める最低限度の賃金のこと。労働者の生計費、類似の労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力などを考慮して定められる。
今回の最低賃金引き上げの主な理由は、物価上昇への対応だ。審議会は「購入頻度の高い食パンや鶏卵などの生活必需品の消費者物価指数が平均5.4%(2023年10月から2024年6月まで)で、前年同期から引き続き高い水準となっている。最低賃金に近い賃金水準の労働者の中には生活が苦しくなっている者もいると考えられる」とした。
上昇率5%、4年連続で過去最大。16都道府県で最低時給が1,000円超え
引き上げ額の目安は、経済実態に応じて都道府県をA・B・Cの3ランクに分けて提示されるが、2024年度はすべての地域が50円となった。引き上げ額の50円(昨年度は43円)は、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額。引き上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)だ。
目安通りに各都道府県で引き上げが行われた場合、時給の全国平均は1,004円から1,054円に上昇。新たに北海道や静岡県など8道県を加えた16都道府県で最低賃金が1,000円を超えることになる。
最低賃金の引き上げ額は2021年度から4年連続で過去最大を更新。2023年度には時給の全国平均が初めて1,000円を超え、これを受けて岸田文雄首相は「2030年代半ばまでに全国平均が1,500円になることを目指す」と表明している。
画像を見る最低賃金未満の場合は罰則も
使用者は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払う必要がある。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者双方の合意の上で定めたとしても、法律によって無効になり、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはならない。また、地域別最低賃金を下回る場合は50万円以下の罰金、特定(産業別)最低賃金を下回る場合は30万円以下の罰金が科される。
最低賃金の引き上げは、10月から適用される見通しだ。まずは自店の給与が10月以降も最低賃金を超えるか確認しよう。計算方法は厚生労働省のホームページを参照してみてほしい。
最低賃金を下回る場合は引き上げ開始までに、現在雇用しているスタッフの給与はもちろん、試用期間中の給与や求人に掲載している給与の見直しも忘れずに行いたい。
シンクロ・フードの調査によると、過去の最低賃金引き上げで飲食店では、「従業員の士気が上がった」「求人への応募が増えた」「離職者が減った」など、ポジティブな影響が出ている店舗もある。経営負担は大きいかもしれないが、今後の効果に期待したい。