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坪月商40万円を売る幡ヶ谷『キッチン かねじょう』。食通も惚れる“ひとひねりのフレンチ”

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『キッチン かねじょう』の上松晃大氏(左)、菜穂氏(右)夫妻。晃大氏は大手のビストロや『umbilical』などで研鑽を積む

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ユニークな個人飲食店が軒を連ねる幡ヶ谷エリアの中でも、地元住民はもちろん食通や食のプロまでプライベートで訪れる人気立ち飲み店が『キッチン かねじょう』だ。同店が幅広い客層から支持を獲得し、坪月商約40万円を売り上げる理由とは? 上松晃大・菜穂夫妻の店づくりに迫った。

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わずか6坪だが、窓側もスタンディング席として利用できる

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描いたのは、気軽に人が集う酒場。幡ヶ谷『キッチン かねじょう』

『キッチン かねじょう』—— 。どこか昭和の洋食店のにおいをも感じさせるその親しみやすい店名こそ、この店の象徴なのかもしれない。

2021年4月、幡ヶ谷の六号通商店街の一角にオープンした『かねじょう』は、地元住民から有名飲食店の店主まで、さまざまな属性のお客で連日賑わう人気“立ち飲み店”だ。小料理店のような温かさと、スパイスをきかせたフレンチベースの酒場料理、毎日焼き上げる自家製のパンに種類豊富なナチュラルワインや芋焼酎が、彼らの足を日々店へと向かわせる。

「『誰もが気軽に立ち寄れて、人がつながる酒場をつくりたい』。それが原点です」

そう話すのは、坪月商40万を売り上げる同店の店主の上松晃大氏。故郷・鹿児島で小さなバーを営む父の背中を見て育ち、酒を酌み交わすことでコミュニケーションが生まれる酒場文化に惹かれたという晃大氏は、妻・菜穂氏と共に『かねじょう』を構えた。

『かねじょう』の屋号は祖母が営んでいた民芸店から父のバーへ、そして晃大氏へと受け継がれている。松の絵は晃大氏の祖父の作品

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「人が集いつながる酒場」という理想像を骨格とし、自分たちらしさをさまざま肉付けしていった結果が、今の『かねじょう』だとふたりは語る。

「いわゆる老舗の立ち飲み酒場も好きです。でもいざ自分の店と考えると、長年の歴史自体が味や価値の一部になっている店と同じことをしても勝ち目はない。自分には何ができるか、どんな店なら自分が行きたくなるかと自問自答を繰り返しながら、営業スタイルを少しずつ変えてきました」(晃大氏)

オープン当初は着席で営業を始め、その後は、朝や昼から店を開けたり、テイクアウトを充実させて惣菜屋を謳ったりしたことも。ただ、そうやっていろんなお客との接点をつくりながら、自分たちがやりたいことを実現すること、そして「誰もが気軽に寄れる親しみやすい酒場」で、「いい食材を使った、ちょっと気が利く惣菜やお酒を楽しんでほしい」という軸は変わらないと晃大氏は言い切った。

「私たちが好きな海外のバルのように、夕飯前や仕事帰りにおいしい料理とお酒がふらっと楽しめるお店がいいよねと、いつも話しています」と、菜穂氏もその言葉をあと押しする。

よりラフなスタイルを目指し、早い段階で立ち飲みに。メニュー札は惣菜店時の名残り

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。