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看板なしで坪月商65万円。学芸大学『目黒 三谷』が示す“繁盛店づくりのニュースタンダード”

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スタッフのみなさんと。左から2番目が株式会社souzou代表の曽我翔太郎氏

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敷地面積はわずか4坪。1、2階の2フロアでも計7.7坪14席という小規模店でありながら、月商500万円を弾き出す東京・学芸大学西口商店街の繁盛居酒屋が『目黒 三谷』だ。

株式会社souzou代表の曽我翔太郎氏は株式会社ダイヤモンドダイニング(DD)、株式会社オーイズミフーズ、株式会社TBIホールディングスで繁盛店ノウハウを学んだ若手経営者の注目株。外食マーケットの時流の変化を察知した業態づくりと、息の長い外食経営を目指した事業戦略についてうかがった。

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家賃の高さは広告費として捉える

学芸大学駅周辺は話題店が次々と誕生している外食店のホットスポット。『目黒 三谷』は創業70年を超える老舗靴店だった『サンヤ靴店』の跡地に2023年12月にオープンした。

『サンヤ靴店』跡地は学芸大学駅西口からアクセスのよい商店街の角地という好立地ではあるものの、それだけに家賃が高く、しかも築80年を過ぎた2階建ての狭小物件であるため、飲食店向きとは言い難い。『目黒 三谷』を運営するsouzouの曽我氏も「周囲から猛反対を受けた」と言う。

だが、勝算はあった。「『目黒 三谷』の立地のよさと視認性の高さは月15万~20万円の広告費に相当する価値がある。それを加味すれば家賃分の費用対効果は十分にあると考え、勝負に出ました」と続けた。

曽我氏は高校時代に焼肉チェーン「牛角」でアルバイトをした後、DDの肉バル『ベルサイユの豚』、オーイズミフーズの居酒屋『くいもの屋 わん』に勤務。大学卒業後には飛ぶ鳥を落とす勢いで事業成長を続けていたTBIホールディングスに就職し、そこでは子会社の副社長も務めた。

「駅前繁華街の好立地を押さえ、広告費をふんだんに投じて集客するのがTBIの出店戦略でした。家賃と広告費にコストをかける一方、原価と人件費を抑えるという戦略は時代にそぐわなくなっていると考えていますが、立地が大事だという点は間違いない。そこはTBIに倣い、その他の点はTBIをいわば反面教師にしてつくりあげたのが『目黒 三谷』なんです」(曽我氏)

2階の客席はテーブル2卓計8席。壁面も自分たちで塗装した。塗りムラが、いい意味で味わいになっている(写真提供:souzou)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。