坪月商55万円の『マグロと炉端 成る』。“錦糸町にないもの”を突き詰めドミナント展開に成功
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居酒屋以上、割烹未満の『錦糸町炭火 成る』、焼鳥×ジビエ『焼鶏メジャー』を同時オープン
スタッフも増え、会社の売上も伸ばしていった宮﨑氏。「スタッフの働き方改革や成長機会を提供するためにも、客単価を上げて、客数を下げる商売に挑戦したい」と考え、錦糸町のビル1階に『焼鶏メジャー』を8月10日、同ビル2階に『錦糸町炭火 成る』を8月8日にオープンさせた。
以前から錦糸町エリアで物件を探していた宮﨑氏が出合ったのが、上下階で9.5坪ずつのビルだった。駅からも近く新築で賃料が上下階合わせて月約57万円と高いため、従来の客単価4,000~5,000円だとコストをカバーするのが厳しい。客単価を上げるしかないと考えた宮﨑氏は、新業態『錦糸町炭火 成る』を2階に構えることに決めた。
「29歳のときに作ったのが『マグロと炉端 成る』なんですが、新店の『錦糸町炭火 成る』は『マグロと炉端 成る』の兄貴分のようなブラッシュアップ店をイメージしました。30代になった今の私が作りたいお店をコンセプトにしています」とその経緯を明かす。
お客に「日本に生まれて良かった」と思ってもらえるよう、豊洲直送の鮮魚や、のどぐろや大海老、大いわしなどの魚介の「原始焼き」、土鍋ご飯、日本酒と焼酎などを揃える。大人がゆったり寛げる隠れ家的な雰囲気で、客単価10,000円、月商600万円を目指す。
1階に構えるのは、新たな挑戦となる焼鳥居酒屋『焼鶏メジャー』だ。
「客単価を上げること、将来的に海外で挑戦したいことを考えたときに、寿司か焼鳥のどちらかに挑戦するのがベストだと考えました。錦糸町で寿司店は、回転寿司か高級寿司のどちらかで、客単価1万円のレンジがあいていました。一方の焼鳥も同じく客単価2,000~4,000円のお店は多いものの、客単価6,000円以上となると2店舗しかなく1店舗は予約の取れない店なので、競合は1店舗というブルーオーシャンです。そんな折、焼鳥店での経験が長い瀬尾さんと出会ったことが後押しとなり、1階は焼鳥にしようということになりました」
焼鳥ながら、コンセプトは“鶏とジビエ” のメジャー化という異色の内容だ。「鶏を焼く店なら鶏以外の肉も焼けるはず」との視点で、日本各地で発生している獣害などの社会課題の解決と、未利用食材の活用によるSDGs貢献という価値を創造し、鹿肉などのジビエをおいしく提供する新機軸を打ち出す。
メニューは土佐備長炭で焼き上げる信玄鶏の焼鳥に加え、ジビエを使った全17品の「おまかせコース」(8,800円)の一本勝負だ。ジビエはスタッフの紹介で出会った北海道の標茶(しべちゃ)町の鹿猟師で、狩猟から食肉加工・出荷を一元的に取り扱う株式会社NORTH DEER蝦夷八(ノースディアえぞはち)の北村直樹氏から直接仕入れている。
『マグロスタンダード』では廃棄されてしまうマグロを使い原価率を下げてきたが、今回の2店舗ではジビエを活用することで、原価率を下げることに挑戦した。『焼鶏メジャー』も客単価は10,000円、目標月商600万円を目指す。
5年後に海外1号店、40歳までに直営50店舗出店が目標
紹介した店舗のほか、川崎市・武蔵小杉「KOSUGI Grill Market」内の『魚市場鈴治』の受託運営や、吉祥寺の『寿司とおでんコエド』のプロデュースも行うPay it Forward。現在33歳の宮﨑氏は「5年後に海外1号店を出したいですし、40歳までに直営50店舗を目指したいですね」と大きな夢を抱える。
「まずは来年10店舗を出店するのが目標です。海外はベトナムを第一候補に考えていますが、シドニーもリベンジしたいですね。飲食店経営だけでなく、海外で学校を運営したいという夢もあります」。
東京にありながら、多種多様な人々が行きかう錦糸町で成功することができれば、海外進出も目ではない。宮﨑氏の“海外メジャー入り”は、もう間もなくだろう。
『錦糸町炭火 成る』
住所/東京都墨田区江東橋2-7-6 UIビル2階
電話番号/03-4500-4470
営業時間/17:00〜23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
定休日/不定休
坪・席数/9.5坪・14席(内カウンター6席、4名までの個室あり)
https://kinshicho-sumibi-naru.com/
『焼鶏メジャー』
住所/東京都墨田区江東橋2-7-6 UIビル1階
電話番号/03-4500-4456
営業時間/17:00~23:00(最終入店21:00)
定休日/日曜・月曜
坪・席数/9.5坪・10席(内カウンター6席)
https://yakitori-major.com
