最高月商190万円の中板橋『1 ROOM COFFEE』。ワンオペカフェの利益構造改革に挑む
2013年に板橋区中板橋にオープンしたカフェ『1 ROOM COFFEE』。約11年にわたり街の住民やカフェ好きたちに愛される一方で、ダイナミックプライシングやサブスクによる会員優待など、個人経営のカフェとしては画期的なビジネスモデルをさまざま取り入れる。店主・内山道広氏がカフェに懸ける経営マインドに迫った。
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毎日でも通ってもらえる来店頻度の高さがカフェの特権
「紆余曲折、トライアンドエラーを繰り返しながらもなんとか続けられています(笑)」
昨年10周年を迎えた中板橋のカフェ『1 ROOM COFFEE』の店主・内山道広氏は、出だしからそう笑って見せた。大学卒業以来、飲食業一筋。バーやレストランで徹底的にサービススキルを鍛え上げた後、カフェチェーンでマネジメントに従事、その後に身をおいた外食企業でキャリアアップを考えていたという内山氏が、「コーヒーを通じて、刺激や興奮、安らぎや癒やしを届けるコミュニティをつくりたい」と『1ROOM COFEE』をオープンしたのは2013年のことだ。
画像を見る長年の憧れを経てカフェ開業へと漕ぎ着ける店主が多い中、調理経験が少ない自身のスキルや、描いたコミュニティのイメージから「来店頻度の高さ」「メニューのカジュアルさ」「ワンオペでできる範囲」などをトータルで鑑み、カフェという選択肢をとったと内山氏は語る。
一人ひとりへのベストなサービスで満足度につなげる
そんな『1 ROOM COFFEE』も、まもなく12年目。中板橋というローカルなエリアにありながらも遠方から足繁く通うファンも多く、緩やかに流れる空気感や内山氏のさりげない気遣いが、彼らの足を幾度となくここへと向かわせる。今やカフェ業界では広く知られる存在となり、昨年秋には過去最高の月商190万円を達成。だが、思うようにお客が来ず苦しい時期もあったと振り返る。
画像を見る「特に開業当初は、自分がキャパオーバーになって一人ひとりのお客様へのサービスが中途半端になるのを避けたかったこともあって、看板も出さずにひっそり始めました。今のようにSNSに拡散力がない時代ですから、なかなか閑散としていましたよ(笑)」
ただそれも、内山氏に刻み込まれたサービスマンシップの表れなのだろう。できる限り自分のベストパフォーマンスでお客を迎えたいとサービスの質を優先し、あえてむやみな集客はせずミニマルにスタート。その分、次の来店につなげるためにさまざまな要素を散りばめ、ひたむきにお客に接してきたという。おいしさとビジュアルを兼ね備えたフードやコーヒーはもちろん、インテリア、居心地、BGM、スムーズな提供、ちょっとした声がけや楽しい会話……。「来てよかった」「また来たい」「この店好きだな」と思ってもらえる“何か”、すなわち高い満足度につながるきっかけづくりだ。
ある程度オペレーションが確立した段階で、すぐさま次のステージへとステップアップ。オプションメニューを増やしたり、やや手間を要するメニューを始めたりと、パフォーマンスの幅を広げてはまた確かなレベルまで自身を引き上げ、着実にファンをつくり土台を固めてきた。