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「ひとり呑みしやすい店」で坪月商35万円。中目黒『風見堂』の目から鱗のワンオペ技

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『中目酒場「風見堂」』の店主・横田憲昭氏

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「ひとり呑みしやすい店」を旗印に掲げる『中目酒場「風見堂」』は、2022年6月にオープン。中目黒駅前から徒歩4分、大通りから一本入った裏路地の奥は住宅街で、「喧騒」と「閑静」を結ぶ生活道路沿いに店を構える。

連日満員という客の主な顔ぶれは、40代前後の中目黒で働く会社員、帰宅前に立ち寄る地元住民たち。週末は観光客も訪れ、客の平均回転数は2.5~3回にもなり、6.9坪17席の狭小店かつワンオペ営業ながら、月商250万円、坪月商35万円と好調が続く。

特筆すべきは一人利用率とリピート率が共に7割を誇ること。「お一人さまに愛されている」と評判の店主・横田憲昭氏(39歳)を訪ね、その極意をうかがった。

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居酒屋『マルゲン商店』(閉店)の居抜き物件で開業。29歳のときに同店に入社したことが横田氏の飲食業界デビュー

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接客は「1対1」ではなく「1対店」を意識

取材当日、店に到着し窓から店内をのぞくと、仕込み作業中の横田氏が柔和な笑顔を浮かべ、会釈をしてくれた。「習慣として続けているんですけど、外からのぞいている人と目が合ったら挨拶するようにしています。結構、それだけでふらっと店に入ってくれるんですよね。人間同士ですから、逆の立場でもそういうものだと思うんですよ」と、横田氏は優しく迎え入れてくれた。

一人呑みしやすい繁盛店をひもとくキーワードは、この「人間同士」。狭い空間でワンオペ店主は客と必然的に1対1で向き合うことになり、極端にいえば、調理作業も含め、一挙手一投足を目で追われる。

「自分自身がどういう人間であるかを、多分すごく見られていると思うんです。とはいえ、忙しくて疲れていたら険しい表情になることもありますよ。そのブレをいかになくすか……。料理のおいしさとか当たり前のことを省けば、やっぱり己のココが元気かどうかが大事だと思いますね」

そう言って横田氏は、自分の左胸を叩いた。

カウンターの外にある4名テーブル席は、複数名の来店時以外は極力使わない

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心の健康を保つために横田氏が求めるオアシスは、なんと「居酒屋」である。

「好きなんで、定休日の月曜はほぼほぼ他の居酒屋にいます(笑)」

気になる酒場を訪れ、刺激を受けることがルーティンに。「見られる側」から「見る側」へ立ち位置を変え、「自分がされて単純にうれしい接客」を持ち帰って心掛ける。

「好きだと思うタイプの店と、うちに共通するのは接客の仕方。お客さんに声をかけるときに1対1じゃなく、『1対店』なんですよ。たとえば、一見さんにメニューについて聞かれたとき、その方だけに聞こえるように説明するのではなく、声を横に広げるイメージで、他のお客さんの耳にも届くように話す。すると、『私も食べてみようかな』と追加オーダーが入ることもあるんです。また、以前にそのメニューを実食済みのリピーターが『それ、おいしいですよ』と一見さんに薦めたり、お客さん同士の会話が自然に生まれることもあります」

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。