代々木上原『タレーリン』、モダンタイ料理×ワインで大盛況。客単価1万円超でも人を呼ぶ
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コースのみで客単価10,000円。口コミ3割、リピーター率2割を獲得
現在コースは7皿5,500円と9皿8,500円の2つを、ディナータイムと週末ランチ(5皿3,500円のコースもあり)で提供。Root所属のソムリエである加納氏がセレクトしたワインを、料理にペアリングするドリンクコースも2タイプ展開している。当初はアラカルトも提供していたが、コースのみの提供に変更したことで、週末ランチは約6,000円、ディナーは約10,000円となり客単価のアップにも成功した。
客層については、オープン当初はInstagram経由で来店する若い女性が多かったというが、最近は男性やカップル、50代の女性グループ、クリエイターや芸能系、地域の方々など幅広い層に及ぶ。お祝いプレートのオーダーも多いそうで、特別な日に利用するレストランとして認知されてきているようだ。
来店客のほとんどが予約をしており、その経路はInstagram、Google、食べログに大別される。口コミ来店も3割ほどあり、現在のリピーター率は2割ほどだが「今後さらに増えていくのではないか」と猿田氏は読んでいる。
東京で今後さらなるブームが巻き起こりそうなモダンタイ料理シーン
2023年に『タレーリン』がオープンしてから、神保町『KHAO』や麻布台ヒルズの『SAWAAN BISTRO』などモダンタイ料理レストランが続々オープンしている。この盛り上がりについて猿田氏は「モダンタイ料理全体が盛り上がってくれたことで、我々のお店も注目されたので大変ありがたい追い風だと感じています。今後、東京では更なる盛り上がりを見せるのではないでしょうか」と語る。最近ではフレンチのトップシェフたちが、アジアのトップシェフを招聘して盛んにコラボレーションを行っており、そういった背景から「モダンタイ料理の下地ができているのではないか」と猿田氏は推測する。
また「この盛り上がりは、モダンタイ料理だけにとどまらないと思います」と続ける。モダンベトナム料理、モダンインド料理、モダンカンボジア料理など、東南アジアや中央アジア料理のジャンルにもこの流れは広がると猿田氏は見ている。
世界のフードシーンにおけるモダンタイ料理の潮流については「東京だけでなく、ニューヨークやロンドンでも、モダンタイ料理のレストランはもう少し伸びそうですよね。また、バンコクでは今後、タイの地方料理からシンパシーを得た、クラシックだけどモダンなタイ料理レストランが増えてきていきそうだと思っています」と猿田氏は予測する。
オープンしてもうすぐ2年を迎える『タレーリン』。今後の展望について「引き続きお客さまに満足してもらえるよう努力しながらも、ゆくゆくはカジュアルダウンした業態など、違った形でお客さまに楽しんでもらえるようなレイヤーを探っていければと思います」と猿田氏は話す。渡部シェフも「この価格帯のモダンタイ料理だったら『タレーリン』が一番だよね、と言ってもらえるようなお店を目指したいですね」とそれに応える。
加えて「飲食業界は長時間労働や休みが少ないなど、労働環境の課題がまだまだあるので、そういった業界の常識を変えられるくらい売上を伸ばしていきたい」と渡部シェフは意気込む。「求人もアジア料理というだけで採用に苦労したんです。アジア料理を若手の料理人が憧れるジャンルにしたいですし、学べる機会も増やしたいですね」と人材教育についても熱がこもっている。
徐々に広がりを見せているモダンタイ料理業態。今後どのような盛り上がりを見せるのか、引き続き注目していきたいところだ。
『thalee ling(タレーリン)』
住所/東京都渋谷区元代々木町16-16 今井ビル1F
電話番号/050-5447-0811
営業時間/月~金17:30~23:00(最終入店時間20:30)、土日11:30~15:00(最終入店時間13:30)・17:00~22:30(最終入店時間20:00)
定休日/不定休(毎週水曜日、及び隔週火曜日)
坪・席数/17坪・24席
https://thalee-ling.jp/
