飲食店ドットコムのサービス

京都の『SUBA』が渋谷でも大行列。立ち食いそば×ワインの道を拓く『VS』の戦略

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

ディスペンサーから好みの銘柄を注ぐグラスワインは550円。だし割も同料金で楽しめる。

画像を見る

【注目記事】大阪の繁盛イタリアン『チュカテ』、コロナ禍でも“攻め”のリニューアル。その戦略は?

立ち食いそば店とのコラボで、『VIRTUS VS』の半分以上が新規顧客

『VIRTUS VS』の二つ目の顔が「ワインショップ」、そして三つ目の顔が「卸」だ。平日の昼間は卸をやりながらワインショップとしても営業しつつ、事務作業も行いながら1階でそばを売る。そして夜はワインバーとしての顔を強める。これにより『VIRTUS VS』は1~2名体制と少人数ながら効率よく三つの営業が叶うという。

1階の『SUBA VS』が混み合って行列ができた際には、2階のスタッフが下りて並んでいる人にワインやお酒の紹介をすることで、お客のワインへのタッチポイントを広げている。その結果「思っていた以上に、新たな客層を開拓できたと感じています。現在、半分以上は新規のお客さまです。今後はグラスでワインを飲んで、ボトルを買って帰るワイン好きなお客さまをたくさん作れたらいいですね」と中尾氏は微笑む。

セラーには国ごとにワインが並ぶ。決済は1階2階ともにキャッシュレスのみにしたことで、売上の管理、レジ締め、経費処理を手軽にした

画像を見る

スタッフの教育面でもメリットの多いコラボレーション

今回のコラボレーションの意義について「お互い新たな客層を開拓できた以外に、スタッフの教育面でも良い効果があった」とふたりは話す。現在スタッフは1階、2階とそれぞれ担当が一応決まっているが、忙しい際はヘルプに入れるようにしているほか、ゆくゆくはすべての業務が担当できるよう教育しているという。

「スタッフからしたらラッキーだと思います。飲食業、小売り、卸の仕事をいくつも見られるのは良い経験だし、スキルとして身に着けられたら今後その人の強みになると思います。飲食のことをわかった上でワインを売れる方が強いですし、ワイン好きではない人が来店した際の接客も学べます。また、スタッフ個人個人が強くなることは、ひいては店としての魅力にもなります」と中尾氏は話す。確かに小売りや卸だけでなく、料理やシーンに合わせて、ワインを提案することをリアルに学べる経験は、スタッフにとっても糧になるはずだ。

現在『VS』ではワインメーカーを招いた試飲会も、不定期で行っている。そうした生産者とのコミュニケーションや、イベント開催のノウハウが学べるのもこのお店で働くスタッフの貴重な学習機会となっている。

1階の冷蔵庫ではワインのほか、クラフトビールやシャルキュトリーも販売

画像を見る

今回のコラボレーションについて鈴木氏は「そばの天抜き(そばなしのこと)など、ワインと合わせることを意識してメニュー開発をするようになりましたね。オペレーション次第で今後天抜きも始めたいと思っています」と『VIRTUS』とのタッグをきっかけに、メニュー開発の思考も変わってきたと話す。

今後の展望について「京都出店の頃から店舗展開をしたいと考えていました。収支が合えば出店していきたいです」と鈴木氏。一方の中尾氏は「お店を増やしたいとも増やしたくないとも思っていなくて。面白そうなことがあれば取り組みたいですね」と応える。

それぞれ相乗効果で魅力を高めている『SUBA』と『VIRTUS』。今後こういった業態が、全国的にも広がっていくかもしれない。

『VS(ブイエス)』
住所/東京都渋谷区渋谷1-15-8 宮益ONビル1階
電話番号/070-3080-1847
営業時間/12:00~23:00
定休日/不定休
席数/1F スタンディング16名 / 2F 6席(時間帯によって変動あり)
https://www.instagram.com/virtuswine_vs/
https://www.instagram.com/subasoba_vs/

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。