飲食店ドットコムのサービス

年商1億円の『鮪のシマハラ』グループ。無職から中国で年商20億円を達成、日本で新たな挑戦へ

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

中央に鎮座する炭焼きのカウンターをメインに、テーブル席、個室も備える(画像提供:鮪のシマハラプラス)

画像を見る

40代半ばで帰国し『鮪のシマハラ』で日本に挑むも、赤字が5年続く

中国の事業を成功させた島原氏だったが「残りの人生を考えたときに、集大成として日本でもマグロの魅力を多くの人に伝えるお店がやりたい」と2018年、中国の事業を譲渡し帰国。40代半ばの2019年、新たな挑戦として『鮪のシマハラ』1号店を神保町にオープンさせた。

『鮪のシマハラ』は、アイルランド産天然本マグロを使用したメニューを取り揃えるマグロ居酒屋だ。お店のコンセプトについて島原氏は「私は小さいころからマグロに育ててもらったマグロ好き。食材としておいしく、大きなお金が動くマグロがビジネスとしても好きです。だから『こんなにおいしいマグロをみなさんどうぞ食べてみてください』とシンプルに伝えたいと思ったんです」と説明する。

「本日のマグロ寿司(5貫)」2,800円はネタに合わせてシャリを変えた創作寿司

画像を見る

中国での成功体験から「5年で30億円稼ぐ」と意気込んでいた島原氏。マグロに特化した居酒屋というそれまであまりなかったコンセプトに加え、noteでの発信もバズり、飲食業界関係者からも応援され、コロナ禍までは右肩上がりで売上を伸ばした。しかし、現実はそう甘くなかった。パンデミックの到来で3号店だった大手町店をクローズするなど、2019年以降、事業は赤字が続く。

「日本の飲食店はメニュー構成や料理のレベルなども世界屈指。売上があればどんぶり勘定でも利益が出た中国と違い、日本でのビジネスは数字の組み立てが違い、ち密に計算しないといけないことをここ数年で学びました」と島原氏は振り返る。どうにかチャイナマネーで食いつなぎながら、日本での飲食店経営について学んだ島原氏は、地道な積算を重ね、今期決算で初めて黒字化を成し遂げた。

現在『鮪のシマハラ』神保町本店は平均客単価約5,000円、25坪50席で最高月商約750万円。水道橋店、汐留店も展開しており、それぞれ月商約500万円ずつを売り上げられるようになった。

スペシャリテの一つ「白子 炭焼きパン・ラジャード」1,800円など、フレンチをメインに洋食のレストランで25年以上のキャリアを持つ小林シェフの腕が光る料理

画像を見る

フレンチ出身シェフを起用した新業態『鮪のシマハラプラス』もオープン

2024年12月6日には、同社の新事業「10人10店舗10皿」の第1弾として、神田小川町にフレンチ出身の料理人による『鮪のシマハラプラス』をグランドオープン。「10人10店舗10皿」事業は飲食業界の担い手にフォーカスし、イタリアンやフレンチ、寿司など出身ルーツを限らず、挑戦する意欲のある人に店を任せ、その料理人なりのマグロ愛を表現する10店舗を出店する計画だ。

「個人的にマグロは生で食べるのが一番好きだったので、これまで刺身や寿司を中心とした居酒屋をやってきましたが、マグロにはもっと可能性があるのではないかと思い今回の新業態オープンに至りました」と島原氏はその経緯を明かす。

ドリンクはビール800円、ハイボール680円、グラスワイン1,000円~、日本酒1,000円~という値段設定

画像を見る

『鮪のシマハラプラス』は8,800円のコースがメインだ。12月のコースでは「カマトロ 香味野菜のしゃぶしゃぶ仕立て」「白子 炭焼きパン・ラ ジャード」など新しいマグロの食べ方を提案するとともに、王道の刺身やトロと赤身でシャリを変える「本日のマグロ寿司」も提供。トリッパや白子のメニューにも全て、アイルランド産天然本マグロを使用している。マネージャーの小泉氏はソムリエの資格も持っており、ビールや日本酒、焼酎だけでなくワインも充実のラインナップだ。想定客単価は12,000~15,000円で、まずは月商600万円を目指していくという。

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。