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坪月商60万円の三軒茶屋『三茶呑場マルコ』。10年続く好調の理由に「人」重視の店づくり

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自身を「おせっかいなタイプ」と評す河内亮氏

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「人」で成り立つ飲食業だからこそ、スタッフのフォロー体制を充実

株式会社2TAPSの正社員は30人。うち3分の1は5年以上勤務している仲間だという。

「私が考える当社の業態は“人”。飲食店は人で成り立っているからこそ、人材を大切にしたいという思いがあります」

河内氏のこうした考えを反映しているのが、しっかりとしたスタッフへのフォロー体制だ。同社で経営管理、販促、人材育成を担当する3人のマネージャーが、毎月1回と年末前に行われる店舗ミーティングで個々のスタッフが抱える課題をヒアリング。仕事上の課題はもちろん、家庭環境など個人のプライベートに関する問題についてもなるべく自然な形で相談に応じ、マネージャー・店長・河内氏が情報を共有しながらフォローするようにしている。こうした体制づくりには、河内氏がアパレル業時代に学んだことが生かされているという。

「問題を抱えるスタッフに直接話を聞いてみると、解決策を見出すこともできず、ただ漠然と疑問に思っていたり戸惑っていたりして立ち止まっていることがほとんどなんです。そこで私やマネージャー、店長が細かくヒアリングし、アドバイスや提案をしながら解決まで丁寧に導いていくようにしています」

教育体制を整え、一人一人のライフプランニングに並走する

同社が料理と同程度の割合で重きを置いているのが、サービスだ。行き届いたサービスを徹底させるため、スタッフ教育はOJTを重視。スタッフの経験に応じて電話対応、注文の取り方、お客の見送り、バッシングなどの課題を設け、達成することの喜びをモチベーションにつなげている。

「モチベーションということでいえば、売上に応じたインセンティブ制度を導入しているほか、各店舗の収支もスタッフに公表しています。これにはスタッフ一人一人に“経営者”としての自覚をもたせるとともに、企業マインドを浸透させる狙いもあります」

この他にも、店舗で使う食材の産地訪問や専門の講師による飲料の研修、保険や投資のハウツーといったライフプランニングをサポートする社内講習も行なっているというから、同社がいかに人材を重視しているのかがわかる。

「個人的には当社でずっと働いてほしいところですが、会社としてはスタッフそれぞれのライフステージに並走し、独立や企業内起業を考えているスタッフの支援もしていきたいと考えています。創業から10年が経ち、私を含めスタッフの年齢層が広がり、女性も増えてきましたし、働き方に対する社会全体の考え方も変化しました。そういった変化に応じた体制づくりが新たな課題ですね」

〆の釜飯は人気メニュー。写真は「カマス・木の子・有馬山椒」(1,500円)(写真提供:『三茶呑場マルコ』)

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。