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物価高騰も値上げなし! 駒沢大学の繁盛居酒屋『おさだ』の“俺流”経営術

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「おさだ」の店主・長田悠助氏

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東京・世田谷区の住宅街にたたずむ『おさだ』は、客単価4,000円の普段使いできる和食系居酒屋。駒沢では目新しい業態が、近隣に住む老若男女に刺さり、22年7月の開店から程なくしてヒットした。13坪・20席の店内は常に混雑、客の回転数は平日が1.5回、週末に至っては2回が当たり前。開店時から予約客が席を埋め尽くし、多い日には60人以上が訪れる。

売上高は非公表ながら、目標月商の1.5倍以上を開店後すぐに突破し、それを継続。最近は、店主・長田悠助氏(38歳)いわく「さらに忙しくなっている」という。

ただし、長田氏は奇をてらったことはやらない主義。時代の潮流に逆らい、“映え”とは無縁の素朴ながらも丁寧な仕事が光る料理を作り続ける。しかも、足かせとなる物価高騰を尻目に、客単価を開店時から2年半キープ。価格を抑えながら料理のクオリティーを落とさず、満足度を保つ秘訣について取材した。

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駒沢大学駅西口から徒歩4分の場所に位置する。住宅街の角地で視認性が高い(写真提供:おさだ)

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2年半で値上げしたのは刺身盛りのみ

気になる原価率について単刀直入に質問すると、長田氏は頭をかきながら、こう答えた。

「恥ずかしい話、原価計算とかあまりしていないんですよ(苦笑)。税理士さんと何となく話すだけ。自分だったら『これ、いくらでなら注文するな』みたいな感覚で、値段を全部つけているので。それでも原価率は33%くらい。税理士さんからは『前より上がりました』とは言われていないので、オープン後から一定ですね」

約50種が並ぶメニュー表を見ると、プライスレンジは250~1,000円、プライスポイントは550円に設定。「肉豆腐」(550円)、「鶏の唐揚げ」(650円)など、誰もが慣れ親しんだ料理を適正価格で売る。聞けば、これまで値上げしたメニューは、100円上げた「お刺身三点盛り」(1人前800円、2人前1,600円)だけとか。約30種のドリンクも「生ビール(サッポロ黒ラベル)」を50円アップし、550円とした以外は変えていない。中心価格帯は500円。物価高をそこまで意識していないのだろうか?

「そうですね、今のところは。気になりだしたら、全ての価格を上げなきゃいけないので。もちろん、“自分の今のやり方”で明らかに売上が下がれば、変えていかないといけません。でも、現状の売上なら、このままの価格帯に抑えてきたいなと思います」

定番料理約30種のメニュー表。別に日替わりメニュー約20種を用意

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。