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物価高騰も値上げなし! 駒沢大学の繁盛居酒屋『おさだ』の“俺流”経営術

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距離感が近くなりすぎない接客を意識

座敷席では飲み放題2,000円(2時間制)を実施。冷蔵庫と棚から自由にお酒を取り出せるシステムは、『いりこ家』時代に考案

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客との距離感で意識するのは、近くなりすぎないこと。「忙しいから、必然的に会話ができないというのもありますが、常連さんだからといって、あからさまに態度を変えるのは、お互いに良くないと思っていて。関係が近くなれば、特別なことを僕もしたくなるし、ある程度の線引きが必要かなと。スタッフにも『お客さんと会話をしようね』とは、一回も言ったことはないです」と、長田氏ときっぱり。

それでも、常連客は全体の約5割。なかでもカップル、夫婦など2人客が圧倒的に多く、一人客が少ない土地柄も、あえて積極的に話しかけない一因といえる。

駒沢は酒場が少なく、ハシゴをする客がほぼいない。「〆まで頼んでくれる人が多いのも売上にプラスです」(長田氏)

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“自分の行きたい店”をつくるのが一番

長田氏は、独立前から料理人を雇うつもりは毛頭なく、現在も社員はゼロ。自然と人件費を抑えられた。店舗物件は当初、『いりこ家』で慣れ親しんだ学芸大学方面で探していた。しかし酒場激戦区のため、1年経っても内見できる物件がほぼなく、エリアを広げて探し、駒沢を根城とした。その結果、相場の高い学大の物件に比べ、半分以下の賃料で済んだという。さらに、宣伝費も一円たりとも落とさない。非常に節約された経費も、原価計算を突き詰めなくても、ある意味、自由に振舞えるゆえん。

「せっかく自分で責任をもって店を切り盛りするのだから、『自分が行きたいな』という店をつくることしか考えていません。うちの『鶏の唐揚げ』は、よりおいしくしたいから、研究してこれまで6回改良しました。逆に中途半端に他店を真似て、デザートやSNS映えする料理を作っても、多分お客さんの気持ちは動かないと思うし、うちではやりません。自分の好きと嫌いを理解した上で営むことが、お店の“色”に直結するのではないでしょうか」

今後の店舗展開は、微塵も考えていない。好き嫌いが明確な「自分でしかやれない店」を、一日でも長く続けることが『おさだ』の本望だ。

『おさだ』
住所/東京都世田谷区駒沢2-31-1 そらビル1F
電話番号/03-6805-3032
営業時間/17:00~L.O.22:30、土日祝15:00~L.O.22:30
定休日/水曜
坪・席数/13坪・20席(カウンター14席、座敷6席)

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小林智明

ライター: 小林智明

埼玉県出身。情報誌の編集プロダクションを経て、2006年にライターとして独立。食、旅、スポーツ、エンタメなど多岐にわたり取材・執筆活動を展開中。グルメ取材はラーメン店を中心に計500軒を突破。好きなお酒は辛口純米酒。