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パートなどの社会保険料を企業が肩代わり、その分の8割を還付へ。飲食店事業者への影響は?

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厚生労働省は、パートやアルバイトなどの社会保険料を企業が肩代わりする特例について、2026年10月から3年間の時限措置として実施する方向で調整に入った。また、肩代わりした保険料の8割を企業に還付する方針も示している。今回は、この特例がどのように飲食店事業者へ影響するか解説する。

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肩代わり特例は2026年10月から、3年間の時限措置

厚生労働省はパートやアルバイトなどの社会保険料を企業が肩代わりできる特例を2026年10月から3年間の時限措置として実施する方向だ。特例の対象は、従業員50人以下の企業または5人以上の個人事務所に勤めており、標準報酬月額ベースで年収106万〜151万円程度の従業員となる。会社が肩代わりできる割合は国が一律で定め、特例を適用した場合でも、パート従業員が将来受け取ることになる年金額も変わらないとしている。

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8割還付措置も、企業側の社会保険負担は増える見込み

現状では、従業員51人以上の企業で働く週の労働時間が20時間以上のパートやアルバイトなどが、年収106万円を超えると健康保険や厚生年金などの社会保険に加入しなければならない。社会保険に加入すれば、労使折半で社会保険料を負担する必要があるため、労働者は手取り額が減ってしまう。そこで、企業が従業員の社会保険料を肩代わりできるようにするのが今回の特例。さらに、負担した保険料の8割を国が企業に還付する。これによって、パートやアルバイトなどの働き控えと企業の負担を抑える考えだ。

厚生労働省は、3年以内に年収106万円の壁の要件をなくす方針で、さらに2027年10月からは段階的に企業規模の要件を縮小、2035年には撤廃するとしている。そうなると、パートは配偶者の扶養から外れ、社会保険料を負担しなければならなくなる。今回の特例はこの対策の一環でもある。

しかし、国が企業へ還付を行うとはいえ、要件撤廃が進めば企業の社会保険料負担は増えることになる。一方で、企業が従業員の社会保険料を肩代わりしなければ人材を確保できなくなるおそれもあり、人手不足や原材料高騰に悩む飲食店にとっては厳しい状況といえるだろう。さらに今回の特例は3年の時限措置だ。飲食店経営者は、今後の制度改正の動きに注目しておきたい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com