坪月商42万円の中目黒『チャン栓チャン』。常連客を虜にするボトルキープマジックに注目
2018年7月、東京・中目黒にオープンした『大衆酒場 チャン栓チャン』は坪月商42.6万円を売り上げる繁盛居酒屋。駅前繁華街の人流動線から外れた商業施設内という難しい立地にありながら、それを克服したわけだが、その鍵を握っているのがボトルキープだ。
古くからあるサービスメニューのひとつであり、再注目されつつあるボトルキープシステム。それを常連客の獲得にどう活用したのか。店主の渋谷邦浩氏にうかがった。
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固定客を獲得できるボトルキープに大手、中堅の外食企業も注目
ボトルキープは主にスナックや居酒屋で採り入れられてきた日本ならではのサービスメニューだ。お客がお酒を1本丸ごと購入し、それを店が預かるというシステムだが、古くからあるこのサービスが今改めて見直されつつある。
その目立った動きとして挙げられるのが、株式会社すかいらーくが全国展開する中華ファミリーレストラン『バーミヤン』で導入された「焼酎ボトルキープ」だ。また、株式会社スパイスワークスホールディングスの『日本栄光酒場 ロッキーカナイ』も、ボトルキープできるオリジナル焼酎「ロッキーボトル」(2,199円)を売りにするなど、大手、中堅の外食企業がボトルキープシステムを積極導入している。
お客にとってはお酒1杯あたりの価格を抑えられることに加え、「自分の行きつけの店」を持つという満足感や優越感にもつながるのがボトルキープのメニュー特性。一方、店側には固定客の獲得と来店頻度アップの効果が期待されるわけだ。そして、このボトルキープシステムの強みを巧みに活用した繁盛店事例が東京・中目黒の『大衆酒場 チャン栓チャン』である。
物件探しに大苦戦。視認性の悪い狭小物件で勝負するしかなかった
店主の渋谷邦浩氏は居酒屋経営者の独立道場としてよく知られる株式会社楽コーポレーションの出身だ。生まれも育ちも中目黒だったため、この地での独立を目指したが、物件探しに大苦戦。「中目黒は外食店の激戦区。家賃も高く、予算範囲内の物件を見つけても、実績がありませんから、査定でことごとく落とされました」と当時を振り返る。
なんとかして見つかったのが現物件だった。中目黒駅すぐそばの複合商業施設内のレストランフロアという立地。駅からのアクセスは良いものの、問題点が二つあった。7.5坪という狭小物件であること、そして、レストランフロアの出入口がわかりにくく、予約をしていない一見客が訪れるような機会はほぼない構造になっていることだった。
「中目黒エリアの外食店は『よそ行き』の店が中心で、地元民が気軽に立ち寄れる店が少ない。そういった普段使いのニーズに応える居酒屋をつくりたいと考えていましたが、立地が駅前動線から外れ、視認性も悪いことから、惹きの強いメニューが必要だと考え、ボトルキープに着目しました」(渋谷氏)
