20代で独立し連続ヒット! 池袋『立呑みアーニー』坪月商70万円超えの軌跡【居酒屋の輪】
「9坪の居酒屋で月商700万円」は驚異的だ。それを飲食経験はバイトのみ、20代半ばで脱サラした二人が実現した。どのようにして繁盛店を築いたのか? 今回の「居酒屋の輪」では、その軌跡をたどりたい。
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常連客が足繁く通う、底抜けに明るい繁盛店
2023年12月にオープンした池袋『立呑みアーニー』は、連日満席が続く人気店だ。9坪の立ち飲みスタイルながら、平日でも3回転で約100人、昼から営業する土曜には150人以上が訪れる。月商は600~700万円をキープし、順調に成長中。客層は20代から70代まで幅広く、男女比はほぼ均等。ノンアルコール派にも対応し、老若男女が集う憩いの場となっている。
接客は「全員友達スタイル」がモットー。スタッフは軽快なトークで場を盛り上げ、お客からお酒を奢られつつ一緒にグラスを傾けることもある。料理は日替わりで更新され、評判も上々。「今日は何が食べられる?」「どんな話が聞ける?」と、来店ごとに期待感を高める仕組みが秀逸だ。
幼馴染コンビが挑む東京では異色の経営術
取締役副社長の小嶋凌さんは独立をこう振り返る。
「居酒屋経営を始めて本当に良かった。毎日が最高です。会社員時代は休み明けが憂鬱だったけど、今は逆にテンションが上がる。お客さんに会えて、お酒まで奢ってもらえるからストレスはほぼゼロ。事務作業が少し面倒なだけで、仕込みが終われば飲み会みたいな気分ですね」
共同経営者の二人は兵庫県出身。中学時代は別々のバスケ部でキャプテンを務めたライバルだったが、高校で同じ強豪校のチームメイトに。大学でも学部・ゼミ・サークルを共にし、卒業後は田中さんが専門商社、小嶋さんが保険会社に就職。「東京転勤が起業のきっかけ」と、ビールを飲みながら代表の田中湧也さんは語る。
「東京に来て驚いたのは、大阪で慣れ親しんだ立ち飲み居酒屋がないこと。客とスタッフの距離が近く、おっちゃんの説教や小さな喧嘩もあるけど、あれも良い思い出やったな、と笑い合えるような店が恋しかった」
その関西風の人情味を東京で再現したのが、3店舗の立ち飲み居酒屋だ。赤羽『立呑みソルト』、中板橋『立呑みあかすと』、そして池袋『立呑みアーニー』。スタッフの人間力が鍵となる業態だが、全店で成功している理由がある。
「社員10人のうち、ほぼ全員が元お客さん。営業中に『一緒に店やろうぜ』と誘ったら、翌日『辞表出してきた』と仲間入りするみたいな(笑)。スタッフになっても、お酒を飲みながら面白い話をするのはお客時代と同じ。ただ制服を着て厨房に入り、おもてなしもする、そんなノリです」
この雰囲気を好む仲間が増え続け、新店にも引き継がれる。2020年の創業以来、離職率0%という驚異的な数字は、彼らの経営スタイルが愛されている証だ。
