大切なのは「人間としての繋がり」。渋谷『ペタロ』手掛けるダルマプロダクションの“人材哲学”
長く働いてくれるのは「○○性のある人」
同社が重視するのは、給与や休日といった表面的な条件だけで応募してくる人材ではない。
「ホームページを辛うじて見たか見ていないか、という方よりも、うちの食べログや様々な記事を読み込んでくれたり、あるいは僕自身の考え方に興味を持ってくれたり。そういう主体性のある方が、マッチングしますね」。
そんな同社の理念や店舗ごとの個性に深く共感し、自ら考え、情熱を持って行動できる人材が多いというのが、飲食業界に特化した求人媒体「求人飲食店ドットコム」だという。ダルマプロダクションでは長年、各店舗の求人募集に活用してきた。
「うちが本当に欲しい人材、つまり自主性があって、自分のやりたいことが明確な人たちが、『求人飲食店ドットコム』には多く登録している印象です。経験者も多く、マッチング率も高いですね」と太鼓判を捺す。
ダルマプロダクションが「求人飲食店ドットコム」経由で獲得した求人応募数は、直近約3か月で40件と手応えがあるという。その中から2名が採用された。
血の通ったコミュニケーションが鍵。一人ひとりの「凹凸」に合わせた人材ケア
スタッフの定着と成長を語る上で、日々の細やかなコミュニケーションと精神的なケアは欠かせない要素だ。ダルマプロダクションでは、幹部5人と、各店舗の店長が従業員一人ひとりと真摯に向き合い、短いスパンでの丁寧なヒアリングを欠かさず行っている。そこから吸い上げた不満や不安、あるいは改善提案は、即座に幹部間や店長、古賀氏へと共有され、画一的な対応ではなく、個々の状況や特性に合わせた具体的な解決策が練られる。
「何か問題が起きたから制度を作る、というのではなく、それぞれの個性、つまり『凹凸』に合わせて柔軟に対応することを常に心がけています。結局、仕事も経営も『人と人』との繋がりが全てですから」。
この古賀氏の言葉に、同社の温かい社風が凝縮されている。このような血の通ったコミュニケーションが、スタッフの会社への信頼感とエンゲージメントを高め、組織全体の揺るぎない活性化に繋がっているに違いない。会社が個人の倫理観を押し付けるのではなく、個々の長所を最大限に伸ばし、短所は組織として補い合う。30店舗以上の規模拡大を目指すのではなく、この「個店主義」を維持できる範囲で質を追求する姿勢も、その表れだ。
