大切なのは「人間としての繋がり」。渋谷『ペタロ』手掛けるダルマプロダクションの“人材哲学”
「独立の疑似体験」と「人間としての繋がり」でスタッフの夢を後押し
ダルマプロダクションでは2012年の創業以来、8名が独立を果たしているのも特筆すべき点だ。スタッフの「独立」という夢を、会社全体で積極的に支援する体制が整っているのが大きな理由だろう。しかし、それは単に開業資金を援助するといった短絡的なものではない。
「料理長クラスの責任あるポジションのスタッフには、いわば『独立の疑似体験』を積んでもらうことが何よりも重要だと考えています」と古賀氏は力説する。
「将来、自分がどんな店を持ちたいのか、どうすれば自分自身が一番輝きながら働けるのか。それを独立前に、会社のサポートがある環境で、失敗を恐れずに存分に挑戦してみる。それこそが、本人の理想とする働き方や店づくりに最も合致した、実践的な人材育成に繋がると信じています。今の店で試せることは無限にあるはず。独立に伴うリスクと、それに見合うリワード(報酬)を冷静に天秤にかけ、それでもなお挑戦したいという強い意志を持つスタッフの背中を、全力で押してあげたい」。
その根底には、「究極を言えば独立の目的は、自ら借金を背負ってでもリターンを得たいか=『お金を稼ぎたいかどうか』に尽きる。料理で表現したいことがあるのなら、まずは今の環境でできることがないか考えてみよう」という古賀氏の現実的かつ温かい視線がある。
「会社にいるうちに、いわば人のふんどしで相撲を取らせてもらえるうちに、色々なことを試さないと損だよ」とも伝えているという。
そして、その支援は独立後も途切れることはない。OB・OGたちとの関係性を大切にし、経営上の悩みや個人的な相談にも親身に乗る。雇用主と労働者という枠組みを超えた、深い人間としての繋がりを重視するこの姿勢は、古賀氏のことを尊敬する多くの卒業生たちからも見て取れる。
技術以上に「人間力」。求職者からの信頼感を高めるため、商業施設への出店も実施
採用の選考過程において、古賀氏が最も重視するのは、料理の技術や経験よりも、その人物の持つ「意識」や「人間力」だ。「結局、長く一緒に肩を並べて働いていく上で、そこが一番大切になってきますから」。
この考えは、同社独自の人材育成プログラムにも色濃く反映されている。例えば、希望者にはジビエの解体研修や狩猟体験といった、食材の原点に触れる貴重な機会も提供。「食材がどのようにして私たちの元に届くのか、その背景を知ることは料理人として非常に重要」という信念からだ。
さらに、スタッフの成長を多角的に促すことや、求職者からの社会的信用度を高める意味でも、近年は都心の商業施設へも戦略的に出店している。
個々のスタッフが持つ「やりたいこと」と、会社として「できること」を丁寧にすり合わせ、技術面だけでなく人間性やコミュニケーション能力を総合的に高めていく。そして、ともすれば固定化しがちな飲食業界の働き方に新たな風を吹き込むべく、店舗間の積極的な人材交流を促し、常に新しい刺激と学びの機会を創出し続ける。
ダルマプロダクションの「人が育つ」独自のメソッドは、この徹底した「個人への深い洞察」と、古賀氏が何よりも重んじる「人間としての温かい繋がり」の中にこそ、その核心があるのかもしれない。古賀氏とダルマプロダクションの挑戦は、変化の時代における飲食業界の未来を明るく照らし出す、確かな灯火となるだろう。
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『Petalo(ペタロ)』
住所/東京都渋谷区渋谷3-21-3 渋谷ストリーム2F
電話番号/050-5596-1084
営業時間/11:30~15:00、17:30~23:00(土日祝12:00~15:00、17:00~23:00)
席数/95
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