坪月商45万円『ランタン』の新業態『MARUYAMA』。日本橋兜町で目指す居酒屋の新しいカタチ
居酒屋の“自由さ”を武器に、ジャンルレスな料理を提供
コンセプトの核となるのは、「日本酒や焼酎をしっかり紹介する居酒屋」。海外からのゲストも視野に入れ、渋谷や世田谷とは異なる食の意識を持つ層に対し、新しい発見や感動を提供することを目指す。
「新たな世代の作り手が醸す革新的な日本酒や焼酎など、面白い組み合わせを提案することで、このエリアの方々にも、新鮮な食体験として感じていただけるのではないかと考えています」と、その狙いを明かす。
『MARUYAMA』の料理は、既存のジャンルにとらわれない自由な発想が特徴だ。丸山氏はフレンチ出身だが、居酒屋という業態の持つ“自由さ”に強く惹かれている。
例えば居酒屋定番の冷奴は、日本橋人形町にある「高柳豆腐店」のきぬゆたかを使った絹豆腐にアボカド、新玉ねぎ、パセリピューレで作った天かす、自家製パセリオイル、牡蠣醤油を合わせた。鮮やかなグリーンが印象的で、名前も「翠(みどり)のたぬき冷奴」と遊び心が感じられる。焼売には丸山氏の故郷である、長野県安曇野市の安曇野放牧豚を使用。発酵バターと帆立の甘みをプラスし、黒七味で味を引き締めるなど、フレンチのエッセンスも感じられるオリジナルメニューだ。
「洋風なものも和風なものも、創作料理も許容されるのが居酒屋の魅力。価格帯も固定観念に縛られる必要はありません。一皿数百円のものから、高級食材を使った数千円の料理まで、幅広い選択肢があっていい。賑やかさは大切にしつつも、レストランのような洗練された部分や手法も取り入れていきたい。それが、我々が表現したい居酒屋の形です」
目指すのは、ヨーロッパのビストロのような、老若男女、地元の人から観光客まで、多様な人々が自然と集う空間だ。「客層を限定せず、誰でも気軽に立ち寄れる。そんな光景が見たいんです」。
ランチ営業ではおむすびと副菜がセットになった「MARUYAMA定食」(2,300円)が好評で、リピーターも増えている。周辺企業のビジネスランチ需要も見込まれ、企業における食への価値向上を丸山氏は感じている。
一方で、週末の集客やランチ全体の売上はまだ目標に達しておらず、試行錯誤が続く。スタッフのためにも、早期の売上向上が課題だ。
