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4か月で売上120%増! 赤字続きの日吉『焼肉ホルモン大大吉』坪月商44万円大復活のワケ

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ワンフロア5坪の規模で、1階はカウンター4席とテーブル2卓で構成される

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黒字化できなければ飲食人生を諦める覚悟で立て直しに着手

石井氏は2024年7月に『大大吉』の店長に就任したが、すぐに結果を出した。店長就任直前の月商は170万円。8月には月商300万円、11月には月商400万円を達成し、さらに12月には月商440万円の売上レコードを弾き出したのだ。

店長就任前から120%増という驚異の売上増を果たしたわけだが、そのために石井氏がまず取り組んだのがスタッフの意識改革だった。

「改善にあたって何から優先すべきか考えましたが、やはり大事なのは人。一緒に戦ってくれるスタッフの意思統一のために自分の本気度を伝えることが一番だと考えました」(石井氏)

石井氏は「この店を黒字にできなかったら自分の夢である飲食店開業を諦める」とスタッフ全員に宣言。自分の思いをスタッフ全員にぶつけ、意識を共有したうえでさまざまな角度から営業改善に取り組んだ。

2階は座敷席で、4人掛けテーブル3卓、2人掛けテーブル3卓の計18席で構成される(写真提供:きんぎょカンパニー)

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平均組客数に合わせて焼肉をポーションダウンして値下げ

フードについては既存のメニュー組に沿いながら、仕入れ先、仕入れ値、価格、レシピ、ポーション量など細部にわたって見直した。たとえば、上タン、並タン、タンサキ、タンシタを盛り合わせた「牛タン全部もり」(2,280円)がオープン時からの名物メニューだが、商品クオリティを高めるために牛タンをツーオーダーでカットするオペレーションに変更。

写真左から、「牛タン全部もり」(2,280円)、「おまかせ 塩ホルモン盛合せ 4種」(1,380円)

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また、ホルモンの盛り合わせがもうひとつの名物メニューだったが、こちらはタレを見直した。「朝挽きの鮮度の高い牛内臓肉を用いていましたが、オーソドックスな味噌ダレだとそうした商品特性が伝わりにくい」(石井氏)と、「おまかせ 塩ホルモン盛り合わせ」にメニュー変更。4種(1,380円)と6種(1,980円)を用意しているが、希少部位を盛り合わせるとともにそれぞれ1種ずつ多めに盛りつけて商品のお値打ち度を高めている。

この他に焼肉、ホルモン焼きで変更したのが単品メニューのポーションだ。従来の1人前サイズは120gだったが、それを60gに変更。「来店客の平均組客数は2.3人。盛り合わせメニューにプラス1品として捉えると120gは多すぎるため、それを半量にしながら、780~880円だった中心価格帯を580~680円に引き下げました」と石井氏は説明する。

その上で目分量になっていた盛りつけ作業を見直し、しっかりと計量して原価率コントロールを徹底。以前はフード原価率が50%を超えていたが、価格改定とポーションコントロールの徹底により、商品のお値打ち度を落とさずに32%にまで抑えている。

写真左から「和牛レバー」(680円)、「上ミノ(牛)」(880円)

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ドリンクメニューも大幅に見直した。従来はアルコール25種前後と品揃えを絞っていたが、レモンサワー7種、ハイボール11種など計70種まで品揃えを拡充。さらにスタンダードメニューとして「飲み放題(120分)」(2,500円)を用意し、ホルモン焼き酒場としてのスタイルを強く打ち出した。

こうしたメニュー施策が実を結び、客単価は店長就任前の4,250円から5,500円にアップ。アルコール売上比率も27%から32%にアップしている。

写真左から、大大吉レモンサワー(590円)、「生ビール(パーフェクト黒ラベル)」(650円)、「虎マッコリボトル」(3,980円)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。