国分寺『食堂 猿乃拳』3年で月商1,000万円達成。接客スキルの追及が売上向上に奏功
オーダーテイクに注力し、名物メニューはお客の8割が注文
『猿乃拳』の人気メニューは前述の「お創り」(2,980円)と大鍋で煮込む「肉豆富」(600円)で、原価率はともに28%程度。お客の8割が注文するという人気メニューだが、実はこの注文率の高さはオーダーテイクに注力する同店の戦略が大きく貢献している。
「『お創り』と『肉豆富』の注文はマストで獲得したいんです。でも、オーダーテイクでは『おすすめです』『おいしいです』は禁止用語。そのワードを使わないで魅力を伝えるようにしています。どうするかというと、『食べてくださいね』と言っていないのに食べたくなるような文言を、スタッフには最初に丸暗記してもらいます。たとえば『肉豆富は入口の大鍋で牛肉がホロホロになるまで炊いています。すぐに出るので、最初に頼んでもらえることが多いです』『お創りは、ただの切り身の盛り合わせじゃなくて、海鮮の一品料理の盛り合わせというイメージです。めちゃくちゃコスパいいので、ぜひ人数様分でご注文ください』という感じですね」
メニューはお客のニーズを汲み取って誕生することも。たとえば同店では車海老や蟹を使った「土鍋飯」を提供しているが、ファミリー層が多く、子供客には好まれないことから、値段を若干抑え、人数分の味噌汁やおかずセットが付く「銀しゃり」(2,580円)を別に提供している。
「もともと3世代に伝わるような食堂をやりたかったんです。『猿酔家』の常連さんたちが結婚したり子供ができたりしたとき、子連れだと来づらいというのを解消したくて。なので、畳のお座敷を作り、ファミリー層の需要が高い銀しゃりを提供しているんです」
ラベル、中身もオリジナルの「自家製瓶詰サワー」を開発
ドリンクは大量のクラッシュアイスに埋まるように並べた大瓶ビール(サッポロ、アサヒ、キリン、各600円)と1,000~2,500円の日本酒が柱。ビールはお客に開栓してもらう仕組みのため、迅速に提供できるのが強みだ。
ほかに特筆すべきは、ラベルも中身もオリジナルという「自家製瓶詰サワー」(サワー600円、ソーダ550円)。デザイナーと共同で作ったというラベルは、店名にちなんで「ルパン三世」の登場キャラクターをイメージしたデザインで、中身は自家製のソフトドリンクを詰めている。

「自家製瓶詰サワー」は4種類で、「ルパン」はレモン、「不二子」は白桃茶、「次元」はコーラ、「五エ門」はポカリンゴ。コーラもオリジナル。ルパンを知らない若い客層とのコミュニケーションツールにもなっている
「先ほどの3世代に伝えていきたいという話ともつながっていますが、お座敷で、小学生の時にはこれをソフトドリンクとして飲んでいたけど、大人になってからサワーとして飲めるようになっていたら、店が街や人と共に歩んでいる実感があると思うんです。だから瓶詰めのジュースは絶対にやりたいと考えていました」
