飲食店の約半数がAI導入による働き方改革に期待。利用経験者の約74%が「満足」と回答
シンクロ・フードは、運営する「飲食店ドットコム」の会員を対象に、飲食店のAI活用状況についてアンケートを実施した。本記事では、その結果を現場のリアルな声とともに紹介する。
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:326
調査期間:2025年6月10日~2025年6月16日
調査方法:インターネット調査
※詳しい調査結果はこちら
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飲食店の66%が「AI利用経験あり」または「利用意向あり」
飲食店運営に際してAIの利用状況を尋ねたところ、「積極的に利用している」(16.3%)、「利用してみたが、うまく使いこなせていない」(10.4%)を合わせた26.7%が、利用経験ありと回答した。これに「利用したことはないが、今後利用したい」(39.3%)という意欲的な層を合わせると、全体の66%もの飲食店がAI活用に関心を寄せていることが分かる。
AI利用経験者からは、具体的に次のような活用事例が寄せられた。
■文章・画像作成(SNS投稿、メール対応など)
・ホームページやSNSに掲載する文章はChatGPT、写真のイラスト化はGoogle AI Studioを使用(大阪府/バー/1店舗)
・問い合わせフォームからのクレームに対応する文章や、資料作成に活用(千葉県/焼肉/3~5店舗)
・口コミへの返信文の作成(茨城県/ラーメン/2店舗)
■レシピ開発・アイデア出し
・メニューのネーミング、レシピ作成、集客方法の相談などに活用(新潟県/洋食/1店舗)
・Google Geminiを活用し、食材の組み合わせのアイデアを得ている(千葉県/専門料理/1店舗)
■売上分析・資料作成
・取得したデータをAIに共有して解析(静岡県/専門料理/3~5店舗)
・補助金の申請書や経営計画の作成をAIに任せている(神奈川県/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
■店舗運営・人材管理
・PDCAの作成や、マニュアル作成(神奈川県/洋食/3~5店舗)
・シフト作成(東京都/イタリア料理/1店舗)
利用経験者の7割以上が「満足」。一方で課題も
AIの利用経験者にその満足度を尋ねると、「非常に満足」(28.7%)と「やや満足」(44.8%)を合わせ、計73.5%が「満足している」と回答。予想以上に高い評価を得ていることがうかがえる。
満足の理由としては「作業時間が圧倒的に削減される」「自分では思いつかないようなアイデアや気づきをもらえる」といった声が多く、業務の効率化はもちろん、良き相談相手としてAIの有効性を実感している様子が伝わってくる。さらに今後の活用法として、インバウンド対応や売上予測など、より経営の根幹に関わる業務での活躍を期待する声も上がっている。
一方で、「引き出される情報の精度が低い」「来客数予測の的中率が上がらず利用を中止した」といった声も見られ、AIを使いこなす上での課題も浮き彫りとなった。
飲食店の約半数が「働き方は変わる」と期待。その先に描く未来とは?
最後に、AI技術の進化が飲食店の仕事や働き方に変化をもたらすと思うか尋ねたところ、「変わる」と回答した飲食店は約半数の48.8%にのぼった。そして、そのうちの77.4%が「ポジティブな影響がある」と予想している。
その主な理由として、次のような声が寄せられた。
■効率化による、労働環境の改善
・シフト作成、メニュー作成、原価計算、発注、在庫管理など、あらゆる面でAIが活躍すると思うから (愛知県/カフェ/1店舗)
・効率的なSNS発信(時間帯、レイアウト、美味しそうな加工)が可能になる(東京都/カフェ/2店舗)
■お客への提供価値の向上
・オーダー時に、お客さまに合わせたメニュー提案がしやすくなる(大阪府/カフェ/1店舗)
・翻訳機能でインバウンド客へのサービスの質が向上する。また、よりパーソナルなサービスも可能になると思う(東京都/焼肉/3~5店舗)
■業界全体の活性化
・飲食店の新規参入が、今よりもさらに容易になる (福井県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
今回の調査結果からは、多くの飲食店経営者がAI導入に前向きで、業務効率化やサービス向上といったポジティブな変化への期待を寄せていることが分かった。AIは、単なる業務効率化ツールに留まらず、飲食店の働き方やお客との関わり方そのものを変える可能性も秘めている。この調査結果が、自店の未来を考える上での一つのヒントになるかもしれない。
