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「まず採用する」から始める育成術。『渋谷きときと』のスタッフが辞めない店づくり

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株式会社HENRY代表取締役の横手和愛氏(中央)と『渋谷きときと』スタッフのみなさん

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2021年、渋谷にオープンするや、たちまち予約の取れない人気店となったネオ海鮮割烹居酒屋の『渋谷きときと』。その勢いはとどまらず、『渋谷ぴーくる』、『渋谷焼肉 ニクノヒ』と立て続けに新店をオープンさせ、飲食業界で大きな注目を集めている。この快進撃を支えているのが、独自の採用・育成戦略だ。
飲食業界は慢性的な人材不足が叫ばれて久しい。特に競争の激しい渋谷エリアにおいて、いかにして優秀な人材を確保し、育て、定着させていったのか。そこには、スタッフ一人一人が「ここで働きたい」と思える魅力的な環境と、成長を実感できる仕組みがあった。

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「いち飲食店の店員ではなく、渋谷や東京で一番イケてるめし屋だと思って働いてほしい」と語る横手和愛氏

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採用の常識を覆す「間口を広げて、まず働いてもらう」という発想

「優秀な人材を『採用するために』というよりは、まず一度採用するようにしています」

横手氏は、採用における考え方をこう語る。一般的には、厳選した優秀な人材を採用しようと考える。しかし同社では、応募者とよほどのミスマッチがない限り、まずは採用し、1〜2回働いてもらう「お試し」の期間を設けているという。

この背景には、現代のアルバイト、特に大学生の働き方の変化がある。コロナ禍以降、一つの場所で長く働くよりも、複数のアルバイトを掛け持ちするスタイルが主流になった。学業がある日は大学近くで、休日は地元の近くで働くなど、ライフスタイルに合わせて柔軟に仕事を選ぶ傾向が強い。

同社の求人情報には、「週1日〜OK」といった条件緩和はもちろん、おいしそうな賄いの写真を掲載したり、スタッフみんなで海の家でBBQを楽しむといった社内イベントの様子を載せたりすることで、「サークルっぽさ」や風通しの良い雰囲気を伝えている。

時給も重要なフックだ。競合店の時給を常にチェックし、それよりも高く設定する。さらに、「これくらい働いているとこれくらい稼げる」という具体例を提示することで、働くイメージを掴みやすくしている。

店外席、カウンター、テーブル、個室の全56席からなる『渋谷きときと』(写真提供:株式会社HENRY)

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アルバイトにもインセンティブを支給。出勤数増で業務習得を促すメリットも

特筆すべきは、アルバイトにもインセンティブ制度を導入している点だ。これは売り上げ目標の達成度などではなく、出勤日数に応じて一律で支給される。忙しいピークタイムに貢献してくれるスタッフへの感謝を還元する仕組みであり、時給に換算すると1日あたり80円から100円ほどの上乗せになるという。こうした取り組みにより、まずは「働いてみよう」と思わせる強い動機付けを生み出しているのだ。

求人を掲載するタイミングは、入学や夏休み前といった、学生がアルバイトを探す時期に集中砲火。求人媒体の一つとして活用しているのが、「求人飲食店ドットコム」だ。他の飲食店経営者からの推薦で2024年7月ごろから利用しており「コストパフォーマンスの高さを感じている」という。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。