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神宮前『CENSU TOKYO』。香港発、東京を席巻する「新感覚IZAKAYA」の全貌

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竹を切ったような見た目の「ほうれん草のごま和え」は人気の前菜の一つ。

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客単価12,000円、月商1,000万円。フード注文率7割で支える経営

『CENSU TOKYO』の経営数値は、その独自性を裏付けている。店舗は1階・2階合わせて30坪(各15坪)、42席。現在の客単価は12,000円。オープン当初はおまかせコースを6,000円台から提供し、客単価は1万円以下だったという。

「原価高騰が続き、さすがに厳しくなって2周年のタイミングで価格改定に踏み切りました」

現在の月商はおおよそ1,000万円。注目すべきは売上構成だ。フードが7割、ドリンクが3割だという。飲食店、特に居酒屋経営において、ドリンク比率を上げることが利益確保の定石とされる中、これは異例のバランスだ。「食事メイン」というコンセプトを貫いた結果であり、それをお客が支持している証左でもある。

原価率は約30%で維持。「食材原価が上がっている分、抑えられるものを抑える。備品や、解凍時の流水の強さまで、無駄な出費をなくそうとチームで意識しています」

ドリンクは、ナチュラルワインをベースに、近隣の『VIRTUS(ウィルトス)』にセレクトを依頼。オリジナルのビールや、アンバサダーを務める日本酒「SOMATO(走馬灯)」、季節のサワーなどを揃え、フードの魅力を引き立てる。

メニューの中心価格帯は1,000円台。居酒屋の定番メニューが書かれているが、テーブルに運ばれてきた料理は驚くものばかりだ

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客層の6〜7割が外国人。キッチンの公用語は「英語」

『CENSU TOKYO』のもう一つの特徴は、その客層だ。現在、60〜70%が外国人だという。集客は、ターゲットを絞ったマーケティングではなく、ほとんどが口コミや紹介。外国からのゲストは事前に予約してくる新規が多く、日本のゲストはリピーターが多い傾向にあるという。この国際的な雰囲気は、チーム編成にも表れている。

「オープン当初、日本語が話せないオーストラリア人のスタッフや香港からのヘルプがいたため、必然的にキッチン内の公用語が英語になりました。今は日本人スタッフだけですが、その文化が残り、今もキッチンは英語です」

金須氏自身、フレンチの現場でフランス語(専門用語)を使う文化を経験しており、それと同じ感覚だという。海外でのイベントや研修の際にも、この環境が役立っていると話す。

そしてスタッフの年齢は23~32歳で、金須氏が最高齢。そんなチームで彼は「まかない」を重視する。

「端材で作るイメージのあるまかないですが、うちのお店では食材の制限なしに、おいしいものを作ってほしいとスタッフに伝えています。それが今後のメニューのアイデアにつながるかもしれないので」

現在おまかせコースは9,880円~。ドリンクはビール880円~、グラスワイン1,280円~でウイスキーやジン、テキーラ、各種リキュールもラインアップ

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「誰かに会いに来てくれる店に」。コラボで広がる『CENSU』の輪

オープンから2年。東京での手応えを金須氏は「想像をいい意味で裏切られた」と表現する。

「ここまでたくさんのお客さまに、来てもらえるとは思っていませんでした。人のつながりのありがたさを感じています」

その縁は、アパレルブランドのケータリング、貸切イベント、ミシュラン星付き店を含むシェフとのコラボレーションなど、店の外へも広がりを見せている。

「料理もそうですけど、『誰かに会いに来てくれる』そんなお店にもなりたいんです」

今後の展望を尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「もちろん色々ありますが、まずは『CENSU』をまだ知らない人、特に日本のお客さまにもっと来てもらえるようになりたい。それが一番ですね」

香港で生まれ、フレンチの技法と世界各国の料理のエッセンス、そして日本の「居酒屋」文化が融合した『CENSU TOKYO』。その進化はまだ始まったばかりだ。

和の要素がありつつも、モダンでスタイリッシュなデザインが目を引くお店の前にて、金須氏

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※価格はすべて税込、別途サービス料10%

『CENSU TOKYO(センス トーキョー)』
住所/東京都渋谷区神宮前2-12-9
電話番号/03-6434-5883
営業時間/【Lunch】ディナー営業日の11:30~14:00(最終入店13:30)、【Dinner】18:00 - 23:00(営業時間は変更する場合あり)
定休日/日曜・その他不定休あり(詳細はオフィシャルInstagramから)
坪・席数/30坪(1F 15坪、2F 15坪)・42席
https://censutokyo.com/

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経て2017年よりフリーライター&編集者として活躍。『食べログマガジン』『Web LEON』『Numero.jp』などで、グルメや旅記事を執筆中。