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急加速する日本茶需要。西荻窪『Satén』と紐解くインバウンドのニーズと日本茶のこれから

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『Satén』では当初からシングルオリジンの日本茶をラインアップ。今、この価格とスタイルで煎茶を飲める店はかなり貴重だそう

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各所で加速する日本茶参入の動き

そんな流れを察知し、小山さんの元を訪れる飲食店関係者や新規参入企業も後を絶たない。“ジャパンブランド”の表現の一つとして、日本茶を導入する動きが加速している。

「ただ、『自分の店に合う日本茶の選び方が分からない』という方がほとんどです。不思議ですよね、幼いころから飲んでいるのに僕たち日本人はお茶について何も知らないんです(笑)。僕も最初はそうでした。でも知れば知るほど、日本茶の多種多様さに驚く。茶種も品種も淹れ方もたくさんあって、ペアリングなのか魅せる体験なのか気軽さなのか……、自店のコンセプトにマッチした日本茶をピンポイントで見つけることは本当に難しい。でもそれも、日本茶の面白さの一つだと思います」

例えば一般的に「緑茶」と呼ばれるお茶の中でも、栽培法や製法の違いで「煎茶」「釜炒り茶」「抹茶」などに分けられ、さらにその先でもさまざまな茶種に分類される。品種の違いや、オペレーションも検討材料となると、選択肢は無限大だ。近年は和紅茶や国産烏龍茶などの生産も盛んなため、選ぶお茶で、得られるお客も届けられる体験も大きく変わると小山さんは話す。

「選択肢が多い分、日本茶を取り入れる目的やターゲットの設定が大切だと僕は思っています」

自分の店は何を大切にしているのか ——。日本茶を考えることは、あらためて自分の店の根幹を見直すきっかけにすらなりそうだ。

狭山の茶農家『的場園』と開発した茶葉と茶の実油のジェノベーゼを使った「茶葉ジェノベーゼトースト」(700円)

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これからの『Satén』が目指すのは、業界のプラットフォーム

今、日本茶を取り巻く環境は大きく揺れている。 だが、世界中が日本茶に熱い視線を注いでいることは紛れもない事実だろう。それでも小山さんは最後に「手放しで喜べない」と素直な気持ちを吐露した。

店内では『Satén』プロデュースの茶器や茶加工品も販売。「茶葉を売るだけなら、自分じゃなくてもできる」(小山さん)

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「これまで僕が、茶器や茶の加工品の商品開発、イベントプロデュース、日本茶メディアの立ち上げなど、さまざまな取り組みをしてきたのは、『Satén』で日本茶に興味を持ってくれたお客さまを次のステップへつなぐ導線をつくるためです。日本茶を学ぶ場や記録を残すためにメディアをつくり、“店”が使いたくなる茶器や茶製品をそろえ、茶農家に消費者側のニーズや盛り上がりを伝えるためにイベントを開催してきました。茶業界の高齢化や後継者不足は深刻です。危機感を持っている人もたくさんいるけれど、個々が起業するばかりで小さな点が多発しているのが現状。だからこそ、消費者とも農家とも企業ともつながって僕らが、それを線で結んでいきたい。今は、日本茶に特化した求人システムの構築を進めています」

抹茶不足、価格の高騰、生産現場の危機……。日本茶業界に「安定」の二文字が見えるのはまだ少し先かもしれないが、この盛り上がりを好機と捉え、未来に向けて歩みを止めない『Satén』の動きを引き続きウォッチしたい。

すっかり街のランドマークになった『Satén』。10年目に向けてすでに次のステージを見据えている

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『Satén japanese tea(サテン ジャパニーズティー)』
住所/東京都杉並区松庵3-25-9
電話/03-6754-8866
営業時間/10:00~19:00(※金曜〜23:00)
定休日/火曜
坪数・席数/約17坪・16席
https://saten.jp/
https://www.instagram.com/saten_jp/

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。