坪月商45万円の代々木『わたるがビュンっ!』。物価高騰も「安くてうまい」を貫く
代々木駅から徒歩3分。ビルの中二階に店を構える『わたるがビュンっ!』。一度聞いたら忘れられないキャッチーな店名と、料理の確かなおいしさで評判を集め、平日でも予約で満席になる人気店だ。
「SNSは苦手で、特に広告は打っていない」と話す店主の木元航氏。にもかかわらず、多くの支持を集める理由はどこにあるのか。その店づくりについて話を聞いた。
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「腰を据えて、小さな店をやりたい」。社内独立で始めた6坪の居酒屋
木元氏は、中目黒『初場所』、学芸大学『鳩乃湯』など数々の人気店を手がける近藤商会の創業期から同社に関わってきた人物だ。約6年前に『わたるがビュンっ!』の立ち上げにも携わり、自身の名前にちなんで現在の屋号が付けられたという。その後はイタリアン業態など別店舗の立ち上げにも関わりながら、同社で経験を重ねてきた。
転機となったのは40歳を迎えた頃。店舗展開によって事業を広げていく同社の方針とは別に、「自分の目の届く範囲で、小さな店をやっていきたい」と考えるようになったという。そうした思いから2023年8月、『わたるがビュンっ!』を買い取り、社内独立という形で新たなスタートを切った。
店は、スナックの居抜き物件を活用した約6坪の小さな空間。カウンター4席にテーブル2卓というコンパクトな造りだ。
「これくらいの規模が、僕にとってはちょうどいいんです。お客さんの反応も見えるから、ちょっと微妙だなと思ったら『このメニューは変えようかな』と思ったりして(笑)」
近藤商会が運営していた頃の『わたるがビュンっ!』は若手の修行の場としての役割も担う店だった。オペレーションも特定の人に依存せず、誰でも回せるような仕組みを意識してつくられていたという。
しかし木元氏が店を引き継いだ後、コンセプトを一新。目指したのは、昔ながらの居酒屋だ。かつて自身が足しげく通った、新井薬師の『串打ち工房 焼串』のように、料理が美味しく、値段も手頃で、こぢんまりとした居心地のいい店。そんな一軒を思い描きながら、店づくりを進めていった。
現在の平均月商は約270万円。小規模ながら、坪月商にすると45万円にのぼる。当初は地元の人がふらっと立ち寄る店を想定していたが、あるときInstagramやTikTok、YouTubeなどのSNSで店が紹介されたことをきっかけに客層が広がった。平日でも予約で席が埋まることが多く、早い時間帯には電車を乗り継いで遠方から訪れる若い客の姿も見られる。
「僕自身は集客に特別に力を入れていたわけではないんです。SNSもあまりやっていないので、TikTokは見られないですし(笑)。『この雰囲気の店でこの料理が出てくるのか』というギャップが、面白がってもらえているのかもしれません」

