グループ年商80億円! DREAM ON人事部長に聞く、 面接は「即戦力より人間力」を見る理由
スキルよりも「素直さ」。中途採用で面接官が見抜くポイント
出店スピードが加速する中、新卒採用だけでなく中途採用にも力を入れる方向へ、大きく舵を切っている同社。2026年2月の『スープスパ&焼きスパ getti 中目黒』や同年4月の『flour+water 下北沢』など新店舗のオープンが続き、即戦力となる経験者への期待も高まっているように見える。しかし、採用面接において鵜飼氏が最も重視しているのは、過去の華々しい経歴や高度な調理スキルではない。
「スキルはそんなに求めていないです。人柄で採用しています。スキルは後からでも身につけられますし、そのための緻密なカリキュラムも用意しています。感覚になってしまうのですが、面接で大切にするのは『素直そうな人かどうか』という部分。我が強そうだなというのは言葉の節々から出ますね。前の職場での働き方や辞めた原因などもいつも聞くようにしています。例えば『上と衝突して』という理由だと、少し身構えてしまうかも」
飲食店での経験が長くなると、それだけスキルが伸び、できることも増えていく。しかし、鵜飼氏は中途入社のスタッフに対し、最初の1年間はあえて「自分の色を抑えて、会社のやり方に慣れてほしい」と伝えているという。
「中途社員をたくさん見てきた結果論なのですが、転職して『認められなきゃ』とがんばりすぎると空回りしてしまい、受け入れる側もうまくいかないんですよ。まずはみんなのために一番下の気持ちで動いて、自分がいなくてはならない存在になった時に初めて発言権ができるから、最初は焦らないでと伝えています。『誰が何をしてほしいかをまずは見て動こうね、能ある鷹は爪を隠すから、いつか能力ある人はわかるから大丈夫だよ』みたいな話をよくします」
新しい環境で焦って結果を出すことより、まずは周囲との信頼関係を築き、チームの一員となることを優先する。これは、実力がある中途スタッフが新しい職場で孤立せず、最終的に自分の強みを発揮するための、実践的なアドバイスだろう。
悩み相談から大抜擢へ。人の心をケアできる人間が次期社長になる
実際に、中途入社から見事にチャンスを掴み、社長候補として道を切り開いているスタッフがいる。2019年に中途で入社したズッキーちゃん(ニックネーム)だ。
現在、中心となって牽引しているのが新業態『スープスパ&焼きスパ getti』。自身が働いていた店舗で、昼の間だけ間借りしてスープパスタの業態検証を行い、見事に軌道に乗せた。満を持して開業した中目黒店は、早朝から行列ができる人気ぶり。オープン後わずか4か月で、食べログの星3.4を超える評価も獲得した。
しかし、ズッキーちゃんが次期子会社社長の候補として大抜擢された理由は、こうした店舗運営のスキルだけではない。最大の理由は「人間力」の高さにあるという。
「店舗の運営に関しては、研修で教えた通りにしてくれています。その本当の才能は、人の悩み相談が上手なところ。ガンガン新しいことにチャレンジするスタッフも必要ではありますが、下のスタッフたちを育てたり、心のケアをしてくれたり、日々のコミュニケーションのバランス感覚が重要なんです」
毎月、全社員・全アルバイトに対して「人間力シート」というアンケートを実施するなど、心のケアに関しての仕組み化も推進する同社。その中には「悩みはありますか」という項目があり、閲覧権限は鵜飼氏と総代表である赤塚元気社長の2人だけ。そこで悩みを抱えるスタッフを見つけた際、鵜飼氏が「この子、こういうことで悩んでいるからちょっと飲みに行って話を聞いてあげて」と真っ先に頼むのが、悩み相談に乗るのが上手なズッキーちゃんなのだという。
組織が大きくなればなるほど、スタッフ一人ひとりの心のケアは難しくなる。だからこそ、自らのスキルアップだけでなく、仲間の心に寄り添える「人間力」を持った人材が評価され、次期社長という重要なポジションへ引き上げられていくのだろう。
さらに、店舗間で人間関係のトラブルがあった際には、いったん店舗を離して流動性を持たせることで「辞める」以外の選択肢を残し、落ち着いた頃にまた関係を修復させるといったケアも。相手を思いやり、心のケアができる人間こそが評価され、抜擢されていくという事実が、同社の定着率の高さを物語る。








